ここに、忍者のように、ささっと、ささっと。
ロビーを移動している人がいる。
この男の人も、とても、いいスーツを着ているが、彼は、目立ちたくないようである。
この男、なにやら、唱えている。
俺は、忍者。俺は、忍者。せんろなんか知らないよ。今日は、せんろは、休みなの。
俺は、忍者。美味しい、お料理、食べに来たのよ。と、唱えていた。
ロビーに美しい女性、アスミちゃんを見ると、唱えるのをやめて、「あー、かわいい。赤いドレスが、似合ってるな。肌の白いのに、赤いドレス、よく似合ってるよ。うん。」と、行って、ニコッと笑った。
けれども、お目当のために、せんろは、忍者に戻った。
先ほどの彼と、彼女は、もう、中に入った。
せんろも、こうしちゃいられないねえ。と、行って、笑って、入って行った。手に、チケットを持って、なんのチケットかというと、今回の食事会のチケットである。
せんろは、山本シェフに、注目している。彼の料理は、とても、美味しく、得意料理は、野菜スープで、彼の作るスープは、とても、優しい味で、野菜の味がわかると言われているのだ。
せんろは、そんな、彼のスープを食べたいと、いうことで、前日から、会合の合間に、のぞみさんに、怒られながらも、こっそりと、見て、
アイドル歌手に恋い焦がれる女の子のように、
食べたいね。飲みたいね。と、言っていた。
彼の作るステーキも、大変、美味しく、肉の味がわかると、評判である。せんろは、これも、食べたいと、言っていた。
忍者は、食いしん坊なのだ。
忍者は、席に着いた。席に着くと、忍者は、周りを見た。ささっと見た。何かがいないか、確認したのだ。特に、のぞみさんが、いないか確認したのだ。
周りを見ると、周りには、先ほどの彼と、彼女が、何か、話している。
美味しいものが、食べられるといいね。と、素敵なものが、出てくるさ。と、話しているのだろうか?せんろは、あーあ、いいなあ。あんな、かわいい女の子と、一緒に、ご飯を食べられるなんて、素敵だね。と、思っていた。
せんろが、そう思っていると、スープが、運ばれて来た。
せんろは、スープが、運ばれてくると、目をキラキラさせて、あー。雑誌で見た。ベジタブルスープ。俺、食べたかったんだ。これがね。と、感心していた。そして、小さい声で、せんろ、感激と、今、一番、ワコクで人気の歌手のものまねをした。
せんろは、モノマネをして、ニコッと、笑うとと、「いや、我ながら、よく似てる。さあ、食べよう。と、ニコッと、笑って、スプーンを手にとって、それを食べようとした。
その時、それは、起こった。
忍者が、せんろが、歌手が、それを食べようとした時、それは、起こった。
あの彼と、彼女も、それに、口をつけた。
その時、それは、起こった。
せんろのテーブルの前のテーブルに、座っている高見山が、どしーんと、崩れるように、落ちたのだ。そして、高見山は、グゥグウと寝てしまった。
それを見て、せんろは、固まった。
あちゃー。どうしちゃったのさ。と、びっくりしていた。
せんろが、びっくりしていると、あの彼と、彼女は、高見山のところに駆け寄って、救急車、お願いします。あと、警察も、と、彼は、言った。せんろがぽかんと、それ。見ていると、レストランの給仕さんが、騒ぎを聞きつけて、そこのあなたも、手伝って。と言った。
せんろは、それを聞いて、これは、えらいことになったぞ。これは、マジメに働くかな。と、言って、ふざけている声から、いつもの議会の時の声に変わった。
その顔は、とても、かっこいい顔だった。