夏の日のイメージ。学園パラレルファクター。
マミコは、理科が少し、苦手であった。元素記号や化学式を覚えるのが、苦手だった。
けれども、マミコは、皆で、勉強するのが好きだった。アスミちゃんや町田君。山本君と、勉強するのが、好きだった。
国語や、数学、外国語、音楽、体育も、好きであった。それは、苦手な、理科でも、同じであった。
けれども、理科は、苦手であった。化学式や、公式も、難しかった。
やっていて、こんなに、難しいこと。やるんじゃねぇ。なんて、思っていた。
けれども、マミコは、アウレイス先生の授業が好きだった。
いつも、楽しく、優しく、おしえてくれた。マミコは、アウレイス先生の白い髪が、雲みたいじゃ。と思って、好きだった。
マミコは、雲を見るのが好きだった。いつも、ふわふわと、浮いている白い雲。マミコは、雲を見るたび、
私も雲になりたいねえ。雲になったら、風に乗ってえ、空をどこまでも、どこまでも、飛んでいくんじゃ。そうしたら、気持ちがあ、ようて、素敵やろうね。と思っていた。
だから、雲に似ているアウレイス先生が、マミコは、好きだった。
だから、期待に応えたいと思っていた。けれども、おっとりしているのか。なかなか、うまく覚えられなかった。
で、あるものだから、理科の宿題は、進まなかった。なかなか、進まなかった。
マミコは、家にいても、「ようわからん。いこう。」ということで、学校にやってきた。
学校には、夏休みということもあって、生徒は、あまり、いなかった。
マミコは「やっぱり、夏休みやけえ、人、おらんねえ。誰も、おられんかったら、どうしようかのう。」と、思っていた。
マミコの頭の中には、アウレイス先生が夏休み前にいっていた、「わからないことがあったら、いつでも、来てね。」という、言葉しかなかった。
だから、先生がいなかったら、どうしようかねえという風な謎の心配事でいっぱいだったのだ。
マミコは、廊下を歩いた。理科室なら、先生がおりんさるじゃろうという気持ちだったからだ。
理科室に行く途中、マミコは、風を感じていた。
夏、暑いだろうということで、学校の廊下は、少し、あけてあった。
そこから、涼しい風が、廊下にそよそよと、入ってきていた。
マミコは、その風を肌で感じながら、「いい風やねえ。気持ちいいねえ。と持っていた。
理科室は、すぐそこである、理科室が近くなると、何かの薬品のにおいがする。
マミコは、それをかんじると、「なんか。病院みたいじゃあ。病院いったら、こんなにおい。ようするね。と、感心していた。
その時、なんとなく、理科と病院の薬の匂いが、マミコの頭の中でつながった。
その時、なぜだか、頭の中で、成長した自分が、アウレイス先生のような白い白衣を着て、
おじいさんに、「今日は、どういったことで、きんさったんですか。」と、聴いている。
おじいさんが「最近、風邪で、都合が悪うて、。かなわんじゃあ。」と、言っていた。
おじいさんが、そういうと、「それは、いかんですね。調べてみましょうねえ。」とマミコは、おじいさんの胸に聴診器を当てていた。
マミコは、その成長した自分か、なにかを見たとき、「なんで、私が、こんなことをしとるじゃろうね。と思って、笑った。
もしかしたら、将来は、お医者さんになるかねえと、ちょっと、面白がって、フフっと、笑った。
マミコは、妄想家である。街で、うさぽんのクレープの屋台を見ると、自分も、頭の中で、クレープ屋で働いているし、
同級生のエスヒナちゃんが、自分の家の焼き肉屋の話をしていると、自分も頭の中で働いている。
その時は、お肉の匂いがして、「お肉って、ええいおいがするじゃねぇ。」なんて、思っていた。
その時、エスヒナちゃんの話を、そうなんね。ほうなん。と、聴いていただけなのに、焼き肉の匂いがして、マミコは、面白いのう。と思っていた。
マミコが、そんなことを思っていると、もう、理科室についてしまった。
マミコは「おお、ついた。」と、思った。
中には、アウレイス先生がいた、マミコは、「先生、おりんさった。」と、嬉しそうに眠そうな声で、言った。
嬉しそうなのに眠そうな声とは、こりゃ、いかに。けれども、マミコは嬉しかった。
それだけではなかった。理科室の中には、なにやら、もう一人、いや、もう二人、いた。
マミコは、その子たちを見て、「ほかの人も、おりんさった。私、ひとりじゃ、ないんじゃね。」と、思って嬉しそうな気持ちでいっぱいだった。
見たところ、彼女らは、いいところのお嬢様、みたいだった。
それを見たとき、マミコの頭の中に、自分が、その家で、お手伝いさんとして、働いているところが浮かんだ。
マミコはお嬢様。二人に、「お嬢様。三時のおやつのケーキです。とっても、美味しいですよ。」といっていた。
その時、マミコは「お医者さん、なったり、お手伝いさんなったり、忙しいねえ。私は、私ひとりしか、おらんのに。大変じゃあ。」と、笑った。
マミコがそう思って、ニコニコしていると、アウレイス先生は、理科室の戸をあけて、「マミちゃん。いらっしゃいよ。」といった。
その声で、マミコは、我に返った。マミコは、「はい。今、いきますけえ。待っててくださいねえ。」と、言って、理科室に入っていった。