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その男。津山。政治家稼業。パラレルファクター。

その男。津山。政治家稼業。パラレルファクター。

 俺が、あいつと出会ったのは、ワコク帝国大学の2年の時だ。

俺は、最初、気に食わねえ奴だ。と思った。俺は、今、一応、エリートコース議員と言われている。入閣も2年間務めた。ワコク文部省の文部大臣。ワコク中の小学校、中学校、高校、大学、それから、支援学校も俺の鶴の一声で、動いた。俺は、そのころは、奨学生で、勉強一本で、ここまで来た。だから、最初は、せんろの事は、「なんだ。金持ちのボンボンかよ。」と思ったもんだ。俺は、なんだかんだのの洋食よりも、ワコクの食事、おでんだ。煮物だ。の方が好きなんだ。

だから、そのころは、せんろの和のものより気取ったものが好きな所が嫌いだった。今は、おれや清水さんのおかげであいつは変わってきて、ワコクの人々の事も考えるようになったが、あの頃のあいつは、曰く、ミナライ まほー☆少女だったらしい。ふざけるな。まったく。でも、あいつはそんな奴だった。

あいつの気持ちも今になってわかるんだ。ワコクも、いつまでたっても、ワコク然としていてはいけない。あの頃は、海外の文化をどんどんと取り入れよ。そして、生まれ変わろう。ワコクと共に。という時代だっからな。ピアノや音楽が盛んになったのもこのころだ。

俺はクラシックってのもよくわかんねえ。だけど、これも、せんろが言う所の新しきを学ぶって、事なんだろうなあ。

俺は、最初、嫌いだったんだ。あいつの事。けど、知ったら、いいやつじゃねえか。と思ったわけだ。俺もな。こんな訛りのひでえ。落語っぽい話し方だったら、人気は出ねえという事で、礼儀正しい言葉遣いを心掛けている。面白いもんだぜ。最初は、恥ずかしかったけど、こっちの方が話しやすいよな。という事で。今でも、エリートコースは違いますね。って言われんだよな。

 

 礼儀正しい言葉を使うようになったのも、せんろの影響だ。あいつは、大した奴だ。みんなまとめちまう。人をまとめるが、上手いだよなあ。あいつは。

俺、大学三年生の時、憧れてたよ。けど、リノとあってから変わったよ。最初はびっくりしました。けれど、これも彼の一部なのだと思うと、そうか。という事になったのです。

せんろ議員は頭の良い男です。大きくたたけば大きく響き、小さくたたけば、小さく響く。のほほんと、リノね。だか、みゃんみゃんだかをやっていますが、気が付けば、プレーンになっている。そんな人です。テツロウさんは。

 

津山議員は、ここまでインタビューに答えた。お江戸訛りも全くなく。礼儀正しい男という印象を与えた。

けど、仕事が終わった後、家の書斎に行くとリノがいた。リノは「遅かったネ。津山君。リノね。待ってたんだ。津山君とあそぼかな。」って思って。と笑った。

津山議員は「なんだよ。おめえは。座敷童かよ。」と、強くいったが、リノはクスクス笑って、「あー。江戸っ子だ。江戸っ子王国だ。」と、笑った。

津山は、この野郎。と、リノと、鬼ごっこをした。

31歳のエリート議員と、かわいい漫画の女の子風の子。なんだかよくわからない対決。よくわからない二人だ。けれど、二人は、特にリノは、この時が好きなようで。

リノ。また来る。といって、風の中に消えてゆく。津山はここまで知っている。

せんろの事を。せんろは、自分が訛りの強い言葉で話すことも知っている。

二人は、お互いに柔らかい腹を知っている。

そんな二人が、せんろと、津山なのだ。

 

リノがいなくなった書斎で、津山はワインを飲む。

1人でちびちびと、飲んでいると思いだす。大学時代の事を。

そう思うと、せんろテツロウに会いたくなる。あいつは文字通り、せんろに乗って旅に出て行ってしまう。昼間、会議や会合で、会うことはあっても話すのは、仕事の話だ。

プライベートであっても、リノの事の方が多い。そう思うと、津山は寂しいと思った。

ええい。男がなくもんじゃねぇ。と思ったが、寂しくなった。

そう思っていると、せんろが立っていた。津山はびっくりした。

「あなた。どこから。まったく。あなたは、海外ならいいアサシンになれますよ。」と、笑った。すると、せんろは、「津山君。私は今来たところです。さっき来たのは、小さな魔法つかいちゃんです。どうです。リノちゃんの魔法は?大臣、お答えください。」と、低い通る声で、言った。

津山は「リノ。お前。せんろか?今どうなってんだ。まったく。お前は。」と笑った。

すると、ソファーちゃんのパペットが「リノは寝ています。とても疲れているそうです。」と、冷たい声で言った。

津山は「あなたは、芸達者ですね。落語家になればよかったのに。」と笑った。

せんろは、「落語家?いや、リノはリノ。ソファーはソファー。私は私です。」と返した。

津山は「あなたは、そんな人でしたね。テツロウさん。」と笑った。

せんろは、津山の隣に座り、「今度、またゴルフに行きましょう。」と笑った。

それに、津山は「当たり前だ。お前は俺の親友だからな。」と、言った。

それに、せんろは「はい。もちろんです。」と笑った。

津山は、それに、「お前。本当か。それ。」といった。

そして、仲間の印ならこれ飲めよ。と、ワインを進めた。

少し酔いが回ってきたがせんろの顔をじっと見たつもりだった。

しかし、そこにはリノがいた。リノは可愛く、「津山くん。」と、寝ぼけてやってきて、「今度、まほーステッキ買って。それから、かわいい服もネ。」と、眠そうな声で言った。

津山は「リノ。わかったぞ。だから寝ろ。」と、リノの頭をなでた。

リノは、スヤスヤと、津山の隣で眠った。

津山は可愛いと思った。けれど、分っていても、もうちょっと、俺の親友と話したかったぜ。と思った。

リノは「メロンだ。ソファーちゃん。」と、寝言を可愛くいった。

初夏の柔らかな風が書斎に入っていった。

心の部屋から見た背中。 政治家稼業 パラレルファクター。

 心の部屋から見た背中。政治家稼業 パラレルファクター。

 

 今日は、子どもの日でっす。

リノは女の子だけど、せんろは、男なので祝えるヨね。っていったら、ソファーちゃんがその日、「先生は、仕事です。」っていってた。

リノ。ざんねーんって、思って、なんだよ。って思ったけど、オシゴトなら仕方ないかナ。って、思った。だって、せんろはさ、リノたちがさ、暮らしやすいようにさ、オシゴトしてるわけだネ。難しい本とか、資料とか読んだり研究したりとか、最近、地鶏っていうのの研究を始めたみたい。リノ、全然わかんないけどさ。努力してるんだな。ってことは分かったよネ。あのね。リノね。せんろとは本当に長い時間さぁ、過ごしてるからよくわかるんだヨ。せんろがどんな人かって。だから、凄いなあって思うよね。

でも、本人はそんなことは言わなくて、リノに交代したら、リノ。あなたは、美しい。あなたは、あなた。私は私ということを覚えておいてください。そして、遊びたかったら思いっきり遊びなさい。って、いつも、かわってくれるの。なんだか、あなたの番ですよって、マイクを貸してくれるみたいに。アレ。かっこいいなあ。って、思うんだよ。リノ。清水さんがせんろの事、好きなの分かる気がするナ。でもさ、でもさ、リノは子供だから、ミャンミャンするよ。ダンダンするよ。だって、リノはリノだもん。

でもさ、子供の日。遊べるよね。っていったら、せんろはもちろんです。って笑ってたけどさ。ソファーちゃんは仕事です。だってさ。あーあ。リノ。遊べないのかあ。っておもって、ざんねーんって、感じだったよネ。

でも、最近、心の部屋の窓から、せんろの仕事ぶり見てるんだけど、凄いよね。この間何て、教育再編会議だって。すごいね。ワコクって、変わってきてるって、聞いたけど、ここまでとはネ。高校に視察にいったりしたもんネ。桜だって、研究したよネ。

リノ。せんろの強さ分かった気がするナ。分かった気・・分かった気がだけどネ。

でもさ、でもさ。欲をいうならさ。もっと自分の心っていうのわかんないけど愛してほしいな。すぐ、リノになるよね。リノ。嬉しいよ。遊べるし、みゃんみゃんも好きだけど、でもさ。もっとわかんないけど、そういうの大切にした方がいいと思いますよ。

せんろ。何。変わってほしいって、もう仕事。もうそんな時間。頑張ってネ。

私は、まどろみの中から目覚めた。ああ、すっきりと目が覚めたようだ。

けれど、昨日はおかしな夢を見た。リノが反抗期風になったのだ。私は、今は、言葉より行為でしか、心を表せない。私は器用な人間ではないから、しかし、私は、器用な人間であり続けようと思っている。リノやソファーに誇れるようなトップランナーであり続けたいと思う。これが私の生きる道。ということだ。と思っている。リノには悪いことをしたと思っているが、また後でリノとソファーと三人で遊びたいとは思っている。その代り、仕事はしっかりと、与えられたことは、必ず行い。国会議員としての責務を務めていきたいと思う。リノ。ソファー。見ていてくれ。この私の背中を。

せんろは、そう思って外に出て行った。これが、リノとせんろと、ソファーの子どもの日だった。ソファーは、冷たい目で、燃えていますね。先生といった。

ソファーの冷たく冷えた透き通る声が、せんろの心をクールダウンさせた。

リノは、心の部屋から、せんろ。燃えている。津山くんの言葉で何か思ったのかな。それとも、リノの言葉・・・そんなわけないよネ。とカワイク笑った。

そして、リノは、子どもの日、遊べないからって、むくれて変な事いってゴメンね。とかわいい声で謝っていた。けれど、そんなもの聞く暇がないと、せんろはのぞみと事務所で話している。リノは頑張って―。と、せんろを応援していた。可愛く、元気よくとおる声で元気にいった。

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リノ「今日は子供の日。だから、リノの日でっす。ええ、リノ、女の子。?いいの。細かいことはネ。せんろの心の部屋番号 227号室ざいじゅー。桃園 リノです。よろしくおねがいしまぁす。」

リノね。子どもの日はネ。かしわもちさぁ、たくさん食べるの。ソファーちゃんと一緒に。それで、せんろとも祝うんだ。いいでしょ。?

せんろ。頑張って――。新元号でも、しっかりと、がんばるんだよぅ。やっくそくだよぅーーー。」

リノのお友達。政治家稼業。パラレルファクター。

 リノのお友達。政治家稼業。パラレルファクター。

今日は、新元号の発表の式典があり、せんろと津山もその式典に参加した。

もちろん、のぞみさんも、出席し、新元号へ秘書部一同も、気持ちを切り替えて向うようにと挨拶をうけた。せんろは朝から、スーツに身を包み、真面目、そのものであった。

朝からずっと、真面目なので、これではリノちゃんやソファーちゃんもお休みである。

いつからだろう。気が付けば、事務所ではせんろでいる時間の方が伸びてきているようだった。それに伴って、なにかの反動が必ずあるのがこの男なのだが、せんろとリノをうまく使い分けているようなのだ。本人が言っているのだから、間違いない。のぞみさんだって、黒のストップウォッチや自分の女性らしい白いベルトの腕時計で計っている。それによると確かに伸びているようだった。

しかし、傍目では分からない。けれど、のぞみさんがそういうのだからそうなのだろう。のぞみさんも新元号に変わったのを機にプライベートルームにもよく足を運ぶようになった。せんろは、そのたびに、なんでよ。だの、ここはリノの家なの。だの、相変わらず、ミャンミャンうるさかったが、のぞみさんは、耐えた。そして、ソファーは「リノのわがままに耐えていますね。清水さん。新元号になっても、ぶれませんね。」と冷たい目でのぞみさんを見ていた。

オレンジジュースを飲んだり、ネコ耳をつけて飛び回ったり、リノちゃんは、元気いっぱいね。と思いながら、本当に、せんろさんなの?と思う事もあったが、夜になると、夜や夕方になると、風が吹いて、せんろに戻っている。せんろに戻ると、いつものブラックスーツに戻っている。時々、ジーンズをはいている時もあった。

いつ着替えているのか不思議だったが、ソファーは冷たい声で、「いつ着替えているのか?それは、分かりません。先生の御心のままに。」というばかりで、その謎は分からなかった。せんろに聞いても、「私だって、着替えくらいします。」と笑うばかりだった。津山さんはせんろさんのこういう影の部分も知っているのね。と思った。

そう思った彼女は、津山議員に会った。

津山議員には弟子も、五、六人いて、せんろよりエリート議員という風だった。

津山に「せんろさんの事で。」と、話をした。

津山は「清水さん。なんですか。ああ、リノのことですね。」と、ああ、あの件ね。と言わんばかりに清水さんが何で悩んでいるのか。すぐに分かったようだった。

津山は「清水さん。あいつは。ああいう人です。気にすることでは、ありません。」と、笑った。

清水さんは、えぇ。と、びっくりしたが、すぐに津山さんはすぐに相手を理解する人なのだ。と思った。少し話しただけだが、津山議員の事を、せんろが彼は私の親友です。と言っていた意味が分かった気がした。けれど、私は、そこまで割り切れないわ。と思った彼女は、津山議員に「私、せんろ議員が心配です。あのままいってしまうと、夢が。」と、言った。

津山議員は「そうですね。このまま。あまり考えたくはないけれど、秘密がばれる事があってしまったら。それに今、あなたは、夢とおっしゃた。そうですか。あなたにとって、哲郎さんは夢なんですね。」と、言った。

清水さんは「はい。津山議員。あの人は私の夢なんです。そして、その夢を入閣させることが私の今の夢なんです。」と、津山に言った。

津山は、ほっほっほ。と笑って、「そうですか。彼も、大分買われているなあ。」と、のぞみに「暗い顔はいけないよ。お嬢さん。そんな顔じゃ、夢も逃げて行ってしまうってもんでございますよ。」と、たしなめた。

そして、こういった。彼も彼で努力をしています。のぞみさん。それが目に見えるもんじゃないかもしれません。彼は変な所が不器用なんですよ。」と、笑った。

のぞみさんはさすが文部大臣だと思ったまるでこの間のキラ星学園の校長先生のようだと思った。教職に就いたことはなかったはずだが、そんな風格があった。

せんろと同輩というのは何だか、不思議だった。

そして、津山はこう続けた、清水さん。彼も彼で、大人でしょう。心配なく。と外の景色を見て言った。もうそとはすっかり、真っ暗だ。それなのにこの部屋は明るい。その対比を見たとき、何だか、大人という響きが強く心に残った。

リノちゃんの声を聞いていると何か麻痺してしまうけど、私たちは、大人なのだと思った。

そう思うと私もいろいろ考えすぎだわ。彼も大人よ。私だってそうよ。と思った。

津山議員は「せんろという男は、そんな男です。長い付き合いですから。あなたも、何年一緒にいるかわかりませんよ。」と笑った。そして、こういった。

「出会いは大切に。彼も気が付いてくれるといいんですがね。」といった。

のぞみは津山がそういったとき、つかえたものが少し取れたような気がした。

すると、心の中がふわあと温かくなった。

のぞみは津山議員にあいさつをした。感謝の気持ちを表した。

「ありがとうございます。」と口に出していった。

すると、津山は、「まあ。気になさらず。竹馬の友の事です。」とのぞみに頭を下げた。

その時、ドアが開き、津山さんの秘書が入ってきて、「先生。時間です。」といった。

津山さんは「私も私の生活がありますので、彼やリノの事を一字一句気にかけていることはできません。あなたは、優しい。そしてエネルギシュだ。その気持ちを忘れず、困った魔法使いちゃんをたのみます。」といった。

その背中は疲れていたが逞しく、強い背中だった。

扉を開けて、津山はリノに電話をした。

電話で、リノに「リノ。女は大切にしろよ。俺もな。」といった。

電話の向こうでも、リノはミャンミャン言っていたが、津山の言葉を聞いていた。

電話を切るとき、リノは「津山くん。リノと津山君さあ。友達だよね。ありがとうネ。津山君、新元号も頑張ろうネ。」といった。

その声はかわいい声だったが、何か決意に満ち溢れていたようだった。

そして、津山は、「当たり前だ。せんろ。リノもな。」と電話を切った。

そして、津山は、「世話の焼ける奴だな。まったく。」とつぶやいた。

おでんの味に聞いてみて。政治家稼業 パラレルファクター。

 おでんの味に聞いてみて。 政治家稼業 パラレルファクター。

 せんろは、とある高架下にやってきた。この高架下は、待ち人の場と呼ばれていた。

ここにはワコクとカメリア国の戦争で帰る家をなくした孤児や家族がしばらくの間、新居が見つかるまで暮らしていた場所だった。

せんろにとっては学生の頃おでんやラーメンの屋台で酒を飲んだりしていた。どちらかというと楽しい思い出のある場所だった。学生のころは津山とおでんやラーメンをつまみながらこれからのワコクや政治の事を語りあったりしていた。

せんろはその時の熱い熱気とラーメンの匂い、綺麗とは言えない場所で明かりに照らされ、ぐつぐつと煮えるおでんが好きだった。センゼン期、いや、それ以前の若者たちもこんな風に夢を語ったのか。と思った。

このころのせんろはびっくりするくらいに真面目であった。同じ人なのかと思うほどだ。ふざけてはいただろうが隠すのがうまかったのだろう。津山は「せんろ。お前。何、考え事してんだ。」といった。

ぐつぐつ煮えているおでんの鍋を見て、遠い昔に思いをはせていると津山君に現在に戻された。せんろは津山に「いえ。生きる事について。おでんを見ていると、生きる力について考えさせられましてね。なんだか、マグマのようで。海外の本で見た火山のね。」とよく通る声でいった。

津山はそれを聞いて「おでんを見てそんなこと思うやつはお前しかいないよ。せんろ。」といった。

そして、バカ言ってないでお前もなんか食べろ。」と、おでん屋の親父さんに「こいつにも、一つ。」と、何か見繕って、大根だ。はんぺんだ。ごぼうてんだ。卵だ。なんかを入れてもらっていた。

 

せんろは、「そんなに食べられませんよ。津山さん。」と笑ったが、津山君はそんなのお構いなしで「いいんだよ。お前は、男だろ。まして、帝大生だ。食わなけりゃ、明日のワコクもだめにならあな。」と弟子入りしたての噺家さんみたいにおでんを進めた。そして戦争の話や経済論の事を話した。おでん屋の親父さんは話が難しく「いいんかいね。こんなとこでお二人さん。本町のほうに洋食屋があるから、そっちいかんかね。」といった。

 

せんろは親父さんに「いえ。僕らはここがいいんです。何事も民草から生まれるのです。しゃれた店より落ち着きます。」と笑った。そしてせんろは「いただきます。」といっておでんを食べ始めた。

昆布の風味とおでんの大根の味が口いっぱいに広がった。奏山のおでんは昆布を使う。海のもので出汁を取るのだ。

せんろは今でもこのおでんの味が好きで、せんろが海のものを好むのもこれがあったからかもしれない。ごぼうてんは柔らかく弾力があり丁寧に作られているのが分かった。

それを親父さんに言うと親父さんは「ほう。分かる人にはわかるんやんね。」と笑った。津山さんはたくさん食べていたが分からなかったので「そうか。?せんろ、お前、舌が肥えてるんだな。おらあ、わかんね。」と、落語家さん風に言った。

言葉づかいは汚かったが、この人がワコクの文部大臣に史上最年少でなり、史上最年少で入閣を果たすのだがこのころは考えられなかった。しかし、津山君にはせんろが出会った人の中でも珍しい特技、とある秘密の守り人の中でも一番そのことを熟知していて少し変わっていた。

「おい。せんろ。あの子。変わってやれよ。あの子のふるさとみたいなもんだろう。ここはよ。」と、言った。

 

あの子というのは誰だろうか。津山は話を続けたあの、ピーピー泣いてる子だよ。戦争のほら。ここで拾ったろ。」とあの服どこいったかな。という風に言った。

すると、せんろは「あの子じゃありません。リノちゃんです。リノベーションのりのちゃんです。」と、たしなめた。

せんろが津山をたしなめると、「なんで、俺が責められなきゃなんねえんだよ。オラあソイツに元気になってほしいだけなんだ。」と、笑った。

リノというのは、せんろが去年の夏、お盆の折、せんろが拾った女の子の気持ちでその子には名前がなく、「外国人いやー。」と、泣くばかりで名前を聞いても桃園です。お父さんは職人で桃園というばかりで一向に名乗らなかった。

その場を通った時にふわっと浮かんだアイデアなので、自分でもなんだこれ。と思ったがこの子に何とも言えない魅力を感じた彼は「泣いてばかりいては前に進めません。桃園さんと、その子をたしなめた。

しかし、その子をむぎゅーと、抱きしめた。実際には抱きしめる演技といったほうが良かったかもしれない。学生寮の自分の部屋でせんろはその子を抱きしめた。その時、不思議だった。何もそこにないはずなのに体温を温かみを感じたのだった。

 

せんろは温かいなと思うと、この子は生きている。確かに私の中でと思った。

 

そして、桃園さんに話しかけた。あなたは生きている。確かに。見えないかもしれないが。で、あるなら名前が必要ですね。その温かい確かな血潮にふさわしい名が。といった。

それを相部屋の津山は「またかよ。また始まったよ。せんろのドラマのマネがよ。」と笑った。

 

しかし。変に今日は熱が入っているような気がした。

津山は向こうで笑っていたがせんろは構わず続けた。

「そうですね。リノ。リノベーションのリノなんかどうですか。改革、刷新という意味もあります。いい名前でしょう。」とその子を守るように言った。その子は、「リノって外国人のなまえだよぅ。いやいや。」と泣いた。

その声はかわいいこえだった。とても、とても、良い声だった。

せんろは「怖いですか。リノ。大丈夫です。あなたは美しい。泣きたいときは泣き、笑うときは思いっきり笑いなさい。それが生きる事です。それに怖いならばそれを使いなさい。和魂洋才です。」と、優しく言った。リノは、「うん。そっかあ。リノね。」と、泣いた。

せんろは「そうです。そうですよ。リノさん。ゆっくりでいいんです。」とリノを抱きしめた。

 

津山はいつになく力は言ってるなあ。と思った。そして、津山にもリノが見えた。

そして、ほお。と、分かった風にリノを眺めていた。

今日、せんろはその思い出の土地に一人で、いや、いつもの三人組でやってきた。

あの、おでん屋があった。もう、古い話なので代は変わっていたがその店はそこにあった。

そこの店にはどうやら先客がいるようだった。せんろはそんなことはお構いなしで、リノと変わった。リノが、喜ぶだろうと思ったのだ。ここは彼女の始まりの場所だから。

それにプライベートはリノが多めにした方がせんろには、過ごしやすかった。

子どもの心をむき出しにして、過ごせるから。せんろはそう思っていた。

リノはおでん屋さんの親父さんに「おでんやさーん。」とかわいいこえで元気よく言った。

おでん屋さんの親父さんは「いらっしゃい。」と、元気よく挨拶をした。

そして、ふふっと笑った。そして、こういった。「おやあ。そっくりだね。あんたたち。兄弟かいね。」と笑った。

リノはうーん。と不思議に思って隣の席を見た。

隣の席には、リノとそっくり、瓜二つ。いや、そちらの方がお姉さんか。といった風な女性が座っていた。その女性は「いえ。違います。」と、突き放すようにいった。しかし、なんとも言えない気品がそこにあった。

リノも、「こんな人知らなーい。」と、言った。しかし、こちらは誰かわかっているようだった。

親父さんは「そうかいね。でも、何だか家族みたいやね。」と笑った。

その女性は「家族。」とボソッと言ってそうですか。と、泣いた。

リノは「そう。良かった。」と、元気に言った。

そして、リノは「ねえ。お姉さん。私たち家族だって。不思議だね。私。お姉さんの事。おうえんしてるから。リノです。よろぴくぴく。」と、笑った。

その女性は、リノがそういうと「ああ。ファンの方でいらっしゃると。ありがとうございます。リノさん。」と、冷たく言った。

すると、ソファーが「リノ。嬉しそうですね。」と冷たい声でリノに言った。

リノは「うん。ソファーちゃん。リノね。リノさあ。嬉しいの。私に会えたから。」と笑った。ソファーは、嬉しそうなリノを冷たい目で見ていた、その視線をせんろに送った。

せんろは「私は、知りませんよ。」と、笑っていた。

ソファーは、ここの人たちは不思議だなと思っていた。

女性の方は、ケラケラ笑っているリノを見て、なんだか懐かしいな。家族か。と思っていた。そう思うと、おでんの味が心にしみた。少し、海の味がした。その味は、ユメカの心を優しく包みこむような優しい味だった。その湯気が空に登った。

昔からいう湯気や煙は高く上ると。

その湯気はどこに上るのだろうか。あの人の所へ上るのであろうか。

かわきりに。パラレルファクター。政治家稼業。

かわきりに。政治家稼業 パラレルファクター。

四月も下旬に入った。最近、せんろさんは忙しかった。あっちに、いったり、こっちに行ったり、海外の仕事はあまりないけれど、国内の仕事はたくさんあった。ワコクの様々な問題の解決に当たった。奏山市内の市電を第三セクター化したいという市の商工会の金田さんと城後さんの意見を聞き、スケジュールが手一杯なのに勝手に会合へ出たりして、その後も何とか間に合ったんだけれど。最近、せんろさんは少し、変わったな。と思う。前と同じように見えるけれど、議員としての活動に前よりも、積極的になったと思う。守屋くんに

「せんろ。お前は。グローバルかぶれだ。口ばっかで、自分の足で汗をかこうとしない。お前は、理想ばかりで、努力はしないだろ?」と、批判されたが、前よりも、桜の苗木を農林試験場で作ったあたりから、国内政治にも前向きに取り組むようになって、変な意味で、バタ臭かったのに、国内を顧みるようになったと思う。もちろん、ワコク友好大同盟もまだ生きているわ。けれど、そのころは、まだワコクは、世界的には赤ちゃんで、いわゆる近代国家。海の向こうで言う所のカントリーではなかったと思う。けれど、せんろさんも肝が据わってきたのか。最近は物おじしなくなったと思う。

ワコクもどうなっていくのかしら。最近はまた近代化の波がくる。と書いてあったわ。

新聞に。こう書くとなんだか。お天気の話をしてるみたいね。ウェザーの。でも、そうかいてあったわ。お天気と言うと、今から一〇〇年ほど前は天気を知るにも天気をしるために特別な勉強やおまじないを勉強した人じゃないと天気の情報を扱えなかったそうよ。

それが今は、テレビを付けたら天気予報。新聞をめくっても天気予報。不思議よね。今から、一〇〇年後、ワコクはどうなっているかしらね。そのころ、あの子。私のちょっと嫌いなあの子は大魔法つかいになっているかしら。ソファーちゃんは、どうなっているかしら。テツローさんは。私は、どんなおばあちゃんになっているのかしら。テツローさんと夫婦になってたらいいなあ。なんて。今日は、春の日よりって言ってたのに暑いわね。今日は、髪を、切りに来たの。シャンプーもトリートメントも、もちろんしてもらうの。だって、良い髪じゃないと、議員の秘書は務まりませんから。

ああ、そうそう。帰りにせんろさんのプライベートルームにでも、言ってみようかしら。抜き打ちテストに。テツローさんは私がいないとほんとにダメだから。今日も、休みだからって。変な遊びをしているにきまってるわ。せんろさん。そういう人だから。それに「リノね。猫耳買うの。ソファーちゃんも猫耳とかぁ、うさ耳さぁ、つけるの。」とか何とか言ってたから。あんまり度が過ぎないようにしなきゃね。きっと、私がいないからって羽目を外すんだわ。ソファーちゃんが「ご心配なく。清水さん。先生は変わりましたから。」と言ってたけど、あの子も、せんろさんが動かしてるから、気休めにしかならないわ。」

そうだ。何も持って行かないのは失礼だから。ショートケーキを買っていこうかしら。ビックの一つ。」と思った。のぞみさんは浮かれていた。嬉しかったのだ。

空に雲が流れていた。空は青々としていて、時間がゆっくりと流れていた。

日差しは、強かったが、その中で、のぞみさんは負けないで輝いていた。

国は変わっていく。刻一刻と。特にワコクはそのようだ。しかし人は強く生きていく。

変わるもの。変わらぬもの。これを見定め、前に進みたいものである。

 

 

女正月の巻。政治家稼業 パラレルファクター。

かなでやまの高級マンションの一室。リノは、外を窓から見ていた。今日は、おやすみということで、リノは、のびのびとしていた。

リノは、大好きなオレンジジュースを飲んで、ゴロゴロしていた。ソファーは、リノの左手でくるくると回って、リノ、休みの日だらといって、ゴロゴロばかりしていては、いけませんよ。と、冷たくいった。

リノは、ほえーやら、なんやらで、だってェ  さあ。疲れてるんだもん。リノは。と、疲れてるんだよ。と、主張するように、ソファーにいった。

ソファーは、いつも、テツローさんは、いろいろなことを主張している。敵を幾人作っても、涼しい顔をして、汗をかいても、それを多くの者には、見せない。いつも、笑っている。むずかしいことや、難儀なことにも、躊躇せずに立ち向かう。けれど、彼には、なんの打算もない。かっこいいことをしてやれとは、思っていない。えー。嘘ばっかりと、思うかもしれないが、せんろは、そういう男だと、ソファーちゃんは、思っていた。男だ。女だ。と、いっているが、ソファーちゃんは、おもちゃなので、男の世界も、女の世界も、知らない。

以前、線路から聞いた話だが、ワコクには、女正月というのがあり、、昔は、家でお正月のお世話をしている奥さん、家のお母さんがお正月の支度やお世話で、忙しいので、お正月が終わってから、実家や自分の近しい友人にご挨拶にいったそうである。

ソファーは、そんな風習、何よりも、そんな言葉があるという事は、知らなかったので、びっくりした。その、女正月という言葉の響きに何やら、底知れぬエロティクさを感じだ。ソファーは、恥ずかしくて、穴があったら入りたくなった。

おや、お正月の話をしているのに、恥ずかしい、穴があったら、入りたいとは、一体。

まあ、ソファーは、それだけ、乙女なのだろう。リノが言っていたが、ソファーは昔、ヒーローのフィギュアと、良い仲になったそうだ。

おもちゃと、良い仲になるとは、不思議である。不思議と、いうと、リノは、せんろの一部である。男と、女を行き来するのだ。

いや、そう言ってしまうと、誤解があるかもしれないが。リノは、ゴロゴロしている。おや、疲れてスヤスヤと寝てしまった。

おや、この後は、テツローさんの時間なのに。

リノのままで寝てしまった。テツローは、今週は、忙しかったですから。と、リノを許した。

テツローの時間が伸び、関係ないはずのリノの時間まで削り、リノを疲れさせてしまった。

いくら、仲良し、三人組といえど、ひとりの人間、一つ屋根の下に暮らしている。体力、気力には、限界がある。という事だろう。

ソファーは、スヤスヤと寝ている。リノを見て思った。その顔は、とても、かわいい寝顔であった。ソファーは、リノに、ここに長くいては、テツローさん。先生に迷惑です。心の奥に帰りますよ。と、冷たく言って、そのふわふわの手でリノのほっぺを軽く、パチンと叩いて、リノを心の奥に連れて行った。その時、部屋に、春の暖かい風がフワァーと、入ってきた。リノは、ソファーちゃんに連れられて、心の奥へ帰って行った。次の出番は、いつになるのだろうか?休みといえば、もう少しで、10連休である。と、ソファーは、思った。今年は、お休みが多いのよね。と、思った。

そう思うと、今は、ゆっくり休んで、力を蓄えて、次の連休に備えようと、思った。

連休も、また、忙しくなるであろう。いや、時間が、思いのほか、とれるかもしれぬ。そのどちらでも、ソファーは、今は、ゆっくり休もうと、思った。そう思っている間も、リノは、寝ていた。かわいい顔をして、寝ていた。誰も、見ることができないかわいい顔をして。

それを見ていると、リノ、かわいいですね。と、ソファーは、思った。

そう思うと、リノ、お疲れ様。今は、ゆっくり休んでね。と、思った。

この休みが、女正月となりますように。

リノ、休みなさい。より、良い明日を迎えるために。今は、時期外れだが、しばしの正月の祝いとしたい。

 

念ずれば・・・・・の巻。パラレルファクター。政治家稼業

 念ずれば・・・・・の巻

 今日、せんろは、嬉しかった。あの、ガクエンファイターシリーズの舞台となった高校のモデル、かなで山県立キラボシ高校に、視察に行くからだ。

話によると、キラ校は、グローバル教育に、力を入れている高校で、共栄大にも、合格者を毎年出すなど、頭も、良い。荒れていた時期も、あったようだが、とある女子生徒の尽力や、その弟の勉強はできないが、熱い心をもっている航空科の空飛ぶ男と言われた男子生徒により、今は、まとまっているようだ。多人種の生徒も、多く見られた。

せんろにとって、この視察は、とても、楽しみで、あった。

なぜなら、モデルになった高校である。そこに行くのだから、何かしらのモチーフは残っているかもしれない。そう思うと、せんろは、嬉しかった。のぞみさんは、遊びじゃないんですよ。せんろさんと、思って心配していた。

校門の前に立った。校門の前には、立派な桜の木があった。

これは、ガクエンファイターシリーズの第一作「ガクエンドラゴン」から、登場している桜だ。せんろは、この桜が好きだった。この桜の木から、せんろは、生命力を貰っていた。

せんろは、言った「この桜の木。本当にあったんですね。満開だなあ。竜子が、オープニングで、桜を見ながら登校するシーンは、ここで、撮ったんですね。と笑った。

のぞみさんは、それを見て「遊びに来たんじゃないんですよ。」と、怒った。

桜の木の下では、生まれた国や肌の色も、目の色も違う生徒たちが、学校に登校するために、校門をくぐっていた。のぞみさんは、こんな立派な桜を見たことはなかった。

自分の母校でも、こんな立派な桜はなかったから、のぞみさんは、怒りながら、その桜の大きさに見入った。素晴らしいわ。と思った。

校門をくぐると、下駄箱があった。男子生徒も、女子生徒も、せんろに、おはようございます。」と、元気に挨拶をした。せんろは、「おはようございます。皆さん。いい朝ですね。」と、笑った。のぞみさんも、挨拶をした。

せんろたちは、校長先生に呼ばれ、校長の藤井校長先生のお話を聞いた。

「当校は、ワコク政府、開闢以来の伝統校で、あります。センゼン、センゴ、そして、ガクエン闘争時代、ガクエン戦争時代を乗り越え、去年40周年を迎えました。当校の標語、皆ありて、我あり、我ありて、皆ありの伝統を守り、山ありと、風ありと、変わらず、変わり、ここまで来ました。せんろ先生におかれましては、ワコクの期待を背負って、大殿様の名に恥じぬ、国づくりをしていただきとうございます。」と、挨拶を受けた。せんろは、びっくりした。面白かった。こんなに、グローバルで、多人種な空飛ぶ船の研究から、ガクエンドラゴンのドラマロケまでやるカジュアルな学校なのに。ワコク大殿という、言葉を聞くとはと思った。ワコク大殿と、いうのは、ワコクの殿様、諸外国で言う所の王様である。しかし、センゼン期には、太守さまと、呼ばれていた。しかし、大殿様は、現在、君臨しつつも、統治せずという倭椿友好条約の元、この教えを守り、和を重んじて、国を守っている。

しかし、一部の紅鷹党議員や、一部の有識者からは、ワコクは、太守様の国だ。という、論調もあり、せんろは、あまりこの問題に関しては、あまり、良く思っていない。

せんろ自身は、たとえ、子供の考えだと言われても、皆と、仲良くしたい。金は、天下の周りもの。という考え方を守っていた。

のぞみさんは、大殿さまね。こんなところで、聞くとは、思わなかったと、思った。

この時、せんろが、黙って校長先生の話を聞いていると、リノちゃんが、せんろの心の中で、そわそわして、「ワコクの太守さまー。」と、喜んだ。そして、懐かしいね。テツローと言った。せんろは、「おや、リノちゃん。知っているのんですか」と、言った。「けれど、今は、私の番です。リノちゃんは、もう少し待っててください。」と、言った。リノちゃんは、ソファーちゃんをもって、「ウン。」と、可愛くいった。そして、ソファーちゃんに、「ねえ。そふぁちゃん。リノね。リノさぁ、この学校、知ってる。昔、ここで、大暴れしたの。リノが。」と、言った。ソファーちゃんは、「そうですか。?ここは、リノの、思い出の地なんですね。」と、言った。リノは、「思い出ねぇ。うん。そんないいもんじゃないヨ。いたずらばっかりしてたし、外国人。コワイ。って、思ってたからね。」と、寂しそうにいった。

でもさ、放送演劇部は、頑張ってたな。竜子ちゃんと喧嘩したりも、したけどね。と、笑った。その名前を聞いた時、ソファーは、あの、フォゼ君の。と思った。そして、この間の。と、言った。すると、リノは、「そだよ。」と、かわいく答えた。

そして、でも、あれは、ドラマのヒトね。私のは・・・まあ、本物。でも、わたしのっていうよりは・・・」と、口ごもった。そして、ソファーにこう言った。

せんろ、お仕事してるから、心の奥で、話そう。リノ。テツローの仕事の時は、邪魔しないタイプだから。」と、笑った。ソファーは、どの口がいうか。と、おつきなのに思ったが、そうですね。と、心を思った。

そのころ、テツローと、のぞみは、ガクエン闘争と、戦争の話を聞いていた。

せんろは、嬉しい気持ちになった。ガクエンファイターシリーズのモデルとなった話だからだ。藤井校長は、「お恥ずかしい話です。非行事件を1度で、なく二度までも。その時は、学校組織は、機能せず、有志の生徒に頼ってしまった。ガクエン・ドラゴンに。と、言った。そして、2年後には、国風学科の新星たちによる再ジョウイ。これも、その弟の、ファイターと、新藤シンゴ君はじめ、航行航空学科の生徒に、迷惑をかけてしまった。世の人は、ドラマ化で、騒ぎ、人気になりましたが、その実情は、情けないもんです。」と、言った。

せんろは、最初は、ワクワクしていたが、当時の教育の実情や、戦争の爪痕が、まだ残っていたこと。若者たちの叫びを思った。そう思うと、一概に、ヒーロー物語には、出来ないと思った。そう思うと、ここ何年かで、ワコクも随分と、そのころと比べると変わったと思った。そう思うと、かなで山にも、小野道のように、「てつのくじら」は、あったのだと思った。つきなみではあるけれど、戦争の、歴史は、自分の街にも、必ずあるのだと思った。

そう思うと、校長室からの桜が、さっきよりも、まぶしく輝いて見えた。

のぞみさんは、そのせんろの顔を、見た。その顔は、とても、良い顔だった。真剣に桜を見るまなざし。さっきまでのせんろとは大違いだった。そして、せんろは、こういった。

「やっぱり桜は、いいですね。青い空と、桜の花。やっぱり、元気が出ます。見ていると。」と、真剣に言った。

のぞみは、そのせんろの言葉を真剣に聞いた。それは、のぞみの心に、優しく響いていた。

 

そのころ、リノちゃんは、ソファーちゃんを連れて、放送演劇部の部室にいた。心の中は、どこにでも、つながっているのだ。心で、思えば、どこへでも、いける。

おや、誰かが、リノの心を感じ取ったようだった。

その日、部室には、誰もいないはずだった。今は、午前の10時なので、皆授業中のはずだ。

けれど、その人には、リノちゃんの姿も、ソファーちゃんの姿も、見えていなかった。

その人は、じっと、部室に飾ってある写真を見たり、脚本集をパラパラと、みたりしていた。

その顔は、どこか、懐かしそうで、寂しそうな顔だった。

ソファーちゃんは、ふと、思った。どこか、この女性、リノに似ている。と思った。

リノに聞いてみると、「リノ、知らないよ。」と、いたずらっぽく笑った。

ソファーは思った。リノは、なにか核心を突かれると、いたずらっぽいことをいうので、本人では、なくとも、何かしら、縁や、ゆかりのある関係だ。と思った。

その人は「いい天気だな。外。」と、窓の外を見ていた。

窓の外から、桜の木が見えた。桜の木は、奏山の日の光を受けて、元気に光っていた。

その人が、外を見ていると、女の人の野太い声がした。その声は、「おい。ユメカ。」といった。その時、ユメカは、後ろを振り向いていった。

「おーい。?それは、ないでしょう。今を時めく、大人気声優にむかって。」と、その声のする方に、ニコッとして、いった。

その顔を見て、リノは「そだね。がんばったもんね。部活。頑張れー。今の私。」と、ニコッとしていった。

ソファーは、やっぱり。と、少し冷たい視線をリノに送った。

リノは、「しーらない。リノ。知らないもん。」と、言って、指を口に当ててニコニコと笑っていた。