幸せの形の法則。アルティメットセオリー パラレルファクター
ある日。シャルダンと、レオナルドが住んでいるビックバン大学の研究員用のアパートに、
全椿鉄道博物館から、一日、車掌体験のチケットが届いた。
全椿鉄道博物館は、カメリア中の蒸気機関車や汽車を展示している。カメリアは、蒸気機関車が生まれた国として、有名だ。シェルダンは、鉄道が好きだった。特に、電車や、蒸気機関車が大好きだった。去年の冬にワコクの奏山に来たとき、奏山の町の中を走っている路面電車、きららかに乗って、目をキラキラさせていたくらいだ。
レオナルドは、シャルダンに、「車掌体験。だってさ。君。行ってきなよ。」と、言った。
シャルダンは、「当たり前だろ。行くよ。行くさ 。僕は、科学の研究者になれなかったら、機関車の車掌になる予定だったんだ。けれど、運命は、僕の夢を奪った、いや、新たな夢を、導いてくれたのかな。?試験は、受かって、僕は、カウボーイシティーから、このビックバン大学に、来たんだ。うふふ。僕が、来てから、この大学の入学希望者は増えたそうだよ。僕は、神童。神の童だからね。」と、笑った。
その神の童は、そうときまれば、その一日、車掌体験の日まで、勉強した。機関車の事や、蒸気機関車の歴史の事を。シャルダンは、電車や汽車の事は知っていたが、その中の、基幹の部分の事、名称、作用、動きの事まで走らなかった。昼休み、チャンに「君は、科学者だろ、?それぐらい知ってるだろ。?」と、鼻で笑われた。その時、シャルダンは、チャンに、「言葉を選べ。君は、一児の父親だ。もう、昨日までのリーフリィ人では、ないはずだ。親が、変なことをすると、赤ちゃんは、すぐ。真似するんだぞ。その認識を改めるんだな。さもなくば、抗議するぞ。」と、怒った。
シャルダンは、この間のチャンの赤ちゃんが生まれた一件以来考えることが増えた。
自分の知識や、知っていることは、どれくらい、あるんだろうか。もちろん僕は、なんでも、知っている、だけど、命が、どうやって、生まれるのかを知らなかった。
あんまり、考えると、レオナルドみたいになるけど、自分の命や体は、自分のもの。自分の体で、あるけれども、自分だけのものでは、ないのだと思った。
そう思うと、世の中には、自分が、知らない事、感じたことのないものが、たくさんあるんじゃないかと思った。
そう思うと、この世界の知識の島は、相当、大きいなと思った。
そう思うと、本も、今までより、たくさん読んでみようと思った。
外出も、積極的にしてみようと思った。
いくら、今、ビル グルグル博士たちが、頑張って、インターネットというものを、頑張って、広めようとしているが、もちろん、ビックバン大学も、このプロジェクトに参加している。チャンと、レオナルドが中心となって、青年研究会を立ち上げたくらいだ。
シャルダンは、その会の名誉マーベラスウルトラカーネル会長として、参加している。
この名前、なんとも、幼稚である。しかし、当の彼は、気に入っている。
彼は、車掌になるために、勉強をした。名誉があり、マーベラスで、ウルトラな、車掌、車掌大将に、なるために頑張った。かの有名な、おにぎりが大好きで、版画が好きで、ワコク中を旅した、山田 キヨシも、機関車が好きなんだな。と、喜んでいたそうな。
自分の世界を持ち、ガッツをもって、頑張っている人は、汽車や電車がすきなのかな。
彼は、ガッツを持って頑張った。車掌になるために、自分の研究室に、自分の研究分野に、関係がなくても、小型の蒸気機関や、駅のジオラマ、模型の記者が模グルグル回っている箱庭を設置して、気分を高めた。万里一空の精神で、勉強をした。
レオナルドから、また、「研究費を無駄にして。」と、言われたが、相手にしなかった。
シャルダンは、思った、批判や茶化し何て、気にしないぞ。僕は、僕の世界を作るんだ。その思いが、科学になるんだと思って、無視した。けれど、完全に無視できなかったので、
その次の日のお昼に、レオナルドのホットドックに、レオナルドが、ジュースを買いに行っている隙に、激辛ソースをたっぷり、かけてやった。
激辛ソースの色は、赤く、ケチャップの色も赤いので、レオナルドには、ばれなかった。
けれど、レオナルドには、このいたずらの犯人が誰かすぐに分かった。
シャルダンは、「辛―い。ナニコレ。死ぬよ。僕。」と、言っているのを見て笑った。
それを見て、いい気味だ。と思った。
そして、月日は、早いもので、その鉄道博物館の一日車掌体験の日がやってきた。
その日、空は、雲一つないカメリアン・ブルーであった。
とても、青々としていて、清々しかった。
その日、シャルダンは、いたずらしたレオナルドに、ちゃっかりと、送ってもらっていた。
そして、その車の中で、レオナルドにシャルダンは、レオナルド、ごめんなさい。と、謝った。
レオナルドは、シャルダンが「レオナルド、ごめんなさい。この前のいたずらの犯人。僕、なんだ。」と、言った。
すると、レオナルドは、「いいよ。なんともないから。このくらい。」と、言った。
そして、僕も、悪かったよ。と、続けた。すると、シャルダンは「当たり前だ。」と、言った。レオナルドは、ありゃりゃ。と思った。
なぜなら、いい雰囲気だったからだ。親友というか、大事な、お互いに許しあういい友達のようなそんな雰囲気だったからだ。けれども、シャルダンには、ちょっと、難しかった。
ワコクの人は、このような心の動きに重きを置くといわれる。カメリア人だってそうだが。
カメリア人のシャルダンには、機関車の基幹を勉強することより、難しかったようだ。
レオナルドは、そう思って、運転していた。雲一つない広大なカメリアの大地を黒々としたその道を。
けれど、レオナルドは、この後驚いた。
一日車掌体験の時、シャルダンは、次は、ホノウリーです。とか、「おばあさん。お荷物をおもちします。」とか、小さい子には、「坊や。何泣いてるの。何。?お母さんと、はぐれちゃったって。そりゃ。びっくりだ。」と、言ったりした。
それを見て、一緒に乗ったレオナルドは、目を丸くしていた。
なんというか、いつもの、シャルダンとは、違って見えた。かっこよく見えた。
しかも、車掌の服がシャルダンの美しい白い肌といいコントラストになって、とても、似合っていた。その姿は、とても、逞しい勇ましい頼りになる姿だった。
さすが、カウボーイシティー生まれなだけあるなぁ。と思っていた。
その夜、レオナルドは、ベリーとワインを、飲んでいるときに「あの。チケット。使った。?一日車掌体験の。」と、ほろ酔い気分で、レオナルドに行った。
カメリアは、ワインも、有名だ。カメリアワインは、安くて美味しい。よく言えば、リーズナブルなので、レオナルドは、夜。シャルダンが寝た後、よく部屋で飲んでいる。
ベリーは、レオナルドとお付き合いをしているので、こっそりと、研究者用のアパートに秘密で来ている。彼女のアパートも近いので、フリーで入ることができる。
その彼女が、ほろ酔い気分で、そういうと、レオナルドは、「ありがとう。僕、嬉しいよ。とっても、かっこよかったな。シャルダン。」と、笑った。
彼が笑うと、彼女は、「そうね。シャルダン。本当にいい子よね。彼も、また一歩、強くなってほしいわ。」と笑った。その顔は、とっても、優しいお母さんの顔だった。
レオナルドは、その顔を見て、笑った。彼が笑うと、ベリーは「どうしたの。」と、聞いた。
すると、レオナルドは、「いや。なんでも。」と、笑った。
レオナルドは、この時、幸せだった。けれど、この幸せは、いつも感じる好きな人と、過ごす幸せとは、違っていた。それは、家族と、過ごす幸せだった。
僕が、いて、ベリーがいて、シャルダンがいる。そんな関係がいつまで続くかは、分からない。けれど、この幸せを大切にしようと思った。
そう思うと、心が温かくなった。ワインのせいかも、しれないけど。
レオナルドは、その幸せを感じながら、ワインのほろ酔いの中にいた。
彼女も、そうであった。シャルダンは、夢の中にいた。夢の中で、彼は、レオナルドとチェスをやって遊んでいた。とても、幸せだった。
今日、この日のカメリアは、幸せと未来への希望に、満ち溢れていた。