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この道を行け。政治家稼業

この道を行け。政治家稼業

 

あれから、ちょうど、一年たった一年のお咎めであった。

 

僕はあの後も、職を転々とすることもなく料理人を続けとった。

 

よう、あんな事件、おこしはったのによう仕事をしとるのう。いろんなこと言われた。

 

もう。嫌や。と思った。もうええやろ。とも思った。

ほやけど僕には料理の道しかない。なあので。僕は洋食をやる。ホンマに。たまねぎ傷めたりサーモンのソテーを切ったりする。これが俺の仕事だ。そう思った。それに外崎さんだ。咎めを受けたのは僕ももちろん悪い。自分一人で悩みやイライラを抱え込んでしまったから。外崎さんにイラン心配を刺せてまった。外崎さんはボーイッシュだ。短髪で。髪も茶髪だ。

アスミちゃんとは違う。

あの子とはちょっと違うと思う。

けれど外崎さんはアスミちゃんよりある意味女性らしいと思う。

もしも、アスミちゃんだったら町田を元気づけるために曲を一曲、ピアノで弾くと思う。

 

まぁ、あの二人は特別や。あの二人みたいにはなかなかなれん。だって、あの二人はわかりあってるもん。けど、僕は外崎さんの気持ちに気づけんかった。

あの事件があるまで。僕の小さなイライラや不安にあの子はいつも僕と一緒におるからいっぱい気づいたんやと思う。デミグラスソースの味、一つとっても違ったみたいやから。

 

いつも僕、外崎さんに言うてるんやけどね。僕の料理ってそんなに考えてないよ。って、でも、あの子は男っぽい外見からはちょっとびっくりするんやけど、「そうなん。しんちゃん考えてると思うけどな。」とステーキを焼きながらいった。外崎さんは事件の後、自分の料理を封印する。と言っていた。道は終わりや。と言うとった。

 

僕は彼女がそういうた時、悲しいこと言わんでくれ。と思った。俺は世の中で一番悲しいことは人が変わってしまう事やと思う。かわらない人なんていないのだけどそう思う。やから僕は外崎さんに言った。どこまで不器用なんやと思った。いつも一緒におるのに自分の気持ちをしっかりと言えたのは警察署の面会の部屋やなんて。僕は悲しかった。ちょっとオモロイとも思った。なんかちょっと冷たい笑いの映画みたいやと思った。

 

そう思うと大人だと思っていた自分が変に子どもやなとも思った、

 

お酒や夜の遊び、ゴルフに競馬そんなもんちょっとやった。町田にそれを自慢して話した日もあった。同じ厨房の女の子たちから山本さん。って言われるのもストレスやイライラやといいながらええ気持ちやと思っていた。

そんなんも一切やらずそんなことを一切思わずいや、僕は。とモジモジしとる町田に俺は「ガキやんな。」と大笑いしとった。

 

町田はその話題になるといつも僕はアスミちゃんなんだ。と当たり前のようにいって酒も夜遊びも女の子からの黄色い声援も「僕はそんなのいらんな。」といってわざとらしくそこだけ方言に僕らの戻って「いいよ。アスミちゃんがいいよ。僕は。」と顔を赤らめて言った。

 

そんなんもガキやいの。と思っていたがその時は俺の方がガキやと思った。

そう思と自分がなんや。みじめになった。

 

いつも一緒におる僕ら。遠く離れている町田とアスミちゃん。そんなことを思うと悔しくて泣いた。やからあんとき僕は封印するなんて言わんといてくれ。ミカちゃん。俺、好きやねん。ミカちゃんのスープ。あんな好き通ったスープはミカちゃんにしか作れん。ホンマや。やからやめんといて。」と泣いて叫んだ。

 

ミカちゃんはその時、びっくりしてぎょっとしとったけど、ミカちゃんは俺に「やっと。気持ちいうてくれた。しんちゃん。」と言って泣いた。

 

こっちはなんや。うれし涙みたいに見えた。俺はただやめんといて。というしかなかった。

こんな簡単なことやったんや。人に頼る。気持ちを届けるて。」そう思った。

そう思うとホッとした。今まで変に小さい世界に囚われてそれで自分を追い込んで。

それで自分で苦しんでいたんや。それは俺ひとりやったら絵になったやろう。けどそれをみとる人。こんなこと言うと冷たい赤の他人みたいやけど。

いい言い方をするとみてくれている人がそばにいてる。そんなことを忘れていた。

料理人たるもの自分の料理に客観性と責任を持て。これは修行時代に言われた。

そんなことも忘れとった。ということを今思い出した。ミカちゃんは俺が泣くとなにないとん。と少し笑った。

そしてあんまりいいことやないけど、しんちゃんがそれを思い出してくれたんやったら私。幸せやわ。ありがとう。ほんま。」と泣いた。

 

そしてこういった「料理、続けようかな。しんちゃん。続けるやろ。料理。なら、私もつづけよっかな。」といった。

俺が「ほんまか。ありがとう。」というとミカちゃんは「しんちゃん。アカン。アカンねん。だって、料理でアホな事。やってしまったんやもん。アカン。」と寂しく言った。

 

決意は固いんやな。と思った。俺は残念に思った。

 

面会時間が終わりに近いことを刑事さんが伝えに来てくれた。もう時間やと思った。

帰るとき、ミカちゃんに「ほんなら。食べに来てよ。」といった。

 

ミカちゃんはその時、俺がそういうと「嫌や。食べにはいかんよ。一緒に作ろうや。しんちゃん。私、しんちゃん好きやねん。しんちゃんの料理が。」と俺の顔を見て言った。

 

そんなことがあったからなのか。今は前よりも心が穏やかな気がする。

あの事件があったから。僕は向き合えた。ぶつかれた。大切なものは目に見えない。町田が前に映画の話をしていた時に言っていた言葉が今になって分かる。そして今はそれが見える気がする。そう思うとほら、俺の方が大人やろ。と思ってちょっと、面白いな。と思った。

俺がそう思っていると「しんちゃん。ステーキとコンソメスープとサラダできたよ。」と彼女の声がした。

その声はとても張りがあっていい声だった。

その声に俺は「はい。」と答えて向った。

俺らは料理人や旅はまだ続く。ずっとずっと。道が続くように。

まだ、いくで。いくで。いこうや。どこまでも。ということや。と俺は思った。