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せんろと、カゲト。政治家稼業。 パラレルファクター

せんろと、カゲト。

 

奏山県で、政治といえば、ワコク清和党である。

この地は、古来より、精密機械や、刀工などで、栄えてきたという歴史があるため、産業を保護し、そして、この地域の産業を県外に発信してきたのもあって、

地域の人々から、熱く支持されていた。

なかでも、せんろ テツロウは、その熱い支持の中でも、ひと際人気があった。

それも、そのはずであるワコクでせんろといえば、あの有名な刀工の一族であると、すぐにわかるからだ。せんろ家というのは、本人が、意識しているのか、どうなのかは知らないが、とても、由緒のある家系なのだ。

由緒ある家系というと、少し違うかもしれないが、奏山には、守屋電機という電機メーカーがある。その一家もまた、このかなで山に住んでいる。

守屋電機は、センゼン期には、相手の兵器や、鳥人たちを探知するレーダーを開発していた。

最近は、テレビやDVDプレイヤーなどを開発している。

守屋電機の、ヤモリ印は、大変、有名なブランドで、このワコクのそこここ、どこそこ、あちらこちらで、見ることができる。

古来、ヤモリは、家を守ると言われている。

家を守るという事で、大変、縁起が良いので、守屋電機のヤモリ印は、ワコクのトップメーカーとなっている。

しかし、しかし、守屋電機の社長は、満足していない。これから、世界へ打って出ようとしているのだ。しかし、このお家、少し、問題がある様子。

この家の息子、藤村社長さんの息子さんと言う事であるが、この息子。

電機メーカーを継ぐ気はない様子である。売り上げも順調、事業も快調、しかし、しかしである。この息子、何が不満なのか、そんな稼業には、目もくれず、政界へと、飛び出した。

その息子の名は、守屋カゲト。齢は、 27歳。晴天の霹靂。目耳に水であった。

藤村社長は、「おい。カゲト。考え直せ。お前が放蕩してどうする。お前はな、俺の事業を、継げばいいのだ。」という。しかし、カゲトは「俺は、超えたい奴がいるんだ。あいつを倒しに行く。俺はね。父さん。倒しに行くのよ。」といった。

倒す。超える。はて、何の事だろうか。?

話は、今から、10年前 いや、もっと前。にさかのぼる。

ここは、奏山県立青空学園。せんろの通っている高校の隣町の隣町の高校である。

ええ、話に関係ないじゃないのよ。と思うだろうが、ご心配を、この学校には、清水 のぞみさんが通っていた。のぞみさんは、現在、せんろ テツロウの秘書を務めているが、この時は、まだ学生であった。正確には、とっても、かわいい。バレーボール少女であった。

そんなバレーボール少女は、学校でも、その可愛い顔。そのプロポーションで、男子生徒たちの憧れの的だった。

バレーボールをしているからか、彼女は体のプロポーションが良かった。

となれば、男たち。若い衆は、釘付けになってしまう。

のぞみさんは、青空学園のマドンナだったのである。

カゲトもまた、のぞみさんの事が好きだった。

好きすぎて、学園祭で、のぞみさんが、模擬店で、メイド喫茶をやったとき、

足しげく、「お百度参りだー。チェスト。」と、カゴシマ生まれではないのに、

お前は、西郷どんか。と、言わんばかりに元気に、言って。キチノスケさあは、

「のぞみどん。ホットケーキ。一つ。くれんか。」といった。

そういうと、のぞみさんは、少し、困った顔をして、

「はい。ご主人様。ホットケーキ。お一つですね。」と、可愛くいって、

奥に、オーダーを通していた。その時、カゲトは、そのかわいい声を聞きながら、

「ほんのこて、可愛い声じゃ。」と思っていた。

のぞみさんも、慣れていないのか、可愛い声を出すのに少し、恥ずかしがって、

ほっぺたを赤くしていた。それは、小さな可愛いリンゴのようで。

カゲトは、「嫁さんにしたかあ。」と思っていた。

あれ、この感じ。誰かに似ている。ような。はて。?誰だったか。?

その誰かは、このころ、ワコク清和党で、若手議員として、先輩議員にもまれながら汗を流していた。

政治家になるために、好きなもの真似も封印していたのだ。ゴマちゃん、頑張れー。負けないでねー。である。

そんな事は、どうでもよくて、この西郷どん。さっきから、鼻の下が伸びすぎである。

鼻血もでそうだ。一緒に、メイドののぞみさんと、遊んでいる。

もう天国である。西郷どんは、「もっと、ここに、おりたい。」と思っていた。

あれ、この感じ。誰かにそっくり。

しかし、その誰かさんは、夜も、若手議員で、集まって仲間たちと勉強をしていた。

黒い淵の眼鏡をかけて、大学ノートにいっぱい書いて勉強していた。

はたからみると、少し。痩せているが、筋肉も少し、ついているので、イケメン風である。

声も、少し、ひくいので、いい声で「なるほど。よくわかったよ。」と、言う。

これが、あのせんろだとは、だれも、おもうまい。

しかし、カゲト。いや、この西郷どん。そんな事は知らずに、鼻の下がのびのびである。

のぞみさんも、慣れていないのか。恥ずかしそうである。

カゲトは、「めっちゃ、楽しい。」と思った。

この時間が、もっと、続けば、いいのにと思った。

しかし、幸せな時間は、あっという間に、過ぎてしまった。

ある冬の日。それは、起こった。カンサイのある県を地震が襲ったのだ。

のぞみは、その日。バレーボールの練習が終わり、家で休みながら、地震のニュースを見ていた。のぞみは、そのニュースが伝えた現地の映像、被害を見て、言葉を失った。

たくさんの瓦礫に火災、けが人。避難所で、暖をとる人たち。

それを見て、のぞみは、言葉を失った。

その地震のニュースを見て、「私は、何をやっているの。?この人たちのために、何かしてあげたいわ。何かしないといけないわ。」と思っていた。

そう思うと、この間まで、メイド喫茶をやっていた自分が申し訳なくなった。

そう思ったのぞみさんは、いても、たっても、いられなくなった。

そんな気持ちで、もんもんとしていると、テレビは、「ワコク清和党有志隊 被災地へ。」と、伝えた。

テレビに、被災地で、救援物資を運んだり、たきだしを配ったりしている人がいた。

その人は、とっても、カッコいい人だった。少し、イケメン。いや。見方によっては、本当にかっこいい顔だった。その人は、インタビューに「僕は、僕にできることをやるだけです。私自身。まだ、若輩者です。しかし、仲間と、高め合い。そして、我がワコクのために、手と手をつないで、つなぎ合って、頑張って行きたいと思います。」と、低く優しい声で、答えた。

それを見て、のぞみさんは、カッコいいと思った。テレビの向こうの人の事をかっこいいと思った。これが、あのせんろだとは、だあれも、おもうまい。

ところ変わって、とある公園。カゲトはのぞみさんに、「俺とつきあわねえ。?」と、告白をした。とても、軽い感じで。まあ、年相応か。

しかし、のぞみさんは、カゲトの告白など聞かなかった。

ごめんなさい。と、断った。

その時、カゲトは「俺、お金持ちだぜ。好きなもの買ってあげるぜ。」と、カッコよくいった。しかし、そんな事、のぞみには、きかなかった。

そして、こういった。「守屋君。ごめんなさい。今、あなたとは付き合えないわ。」

「私、今、政治の勉強をしているの。だから、遊んだりできないわ。」と、言った。

その時、カゲトは、えーっと思った。ガチョーンと思った。

勢いあまって、オオサンショウウオの身体測定をしたくなった。

なんじゃ、そりゃ。

カゲトは「そうか。残念だ。」と、言って、家に帰った。

そして、部屋で、静かに泣いた。

その後だろうか。のぞみさんは、それまでやっていた、バレーボール部を辞めた。

監督からも、「いいのか。清水。あと一歩で、ワコクの女子代表だぞ。」と言われたが、ビシッと、スパイクを決めるように、のぞみさんは、スパッとバレーボール部を辞めた。

時、同じくして、カゲトもまた、物まねを辞めた。

あんなに好きだったのに。「おいは、モウ。もう二度と、やりもはん。」と、スパッとやめた、

この時、続けていれば、せんろと、同格、いや、もっと、実力が伸びたと思うが、カゲトはスパッとやめた。

しかし、このなかにあって、あの男は違った。

ゴマちゃんは、物まねを再開した。

縁は不思議なもので、やめるものもあれば、ふたたび、やるもの。始める者もいる。

それから、何年かたって、カゲトは、不思議なもので、野党、ワコク紅鷹党から、

出馬し、見事当選した。なぜカゲトは、紅鷹党を選んだかと言うと、せんろから勢力を奪える。せんろを倒せる。と思ったからである。

なぜ、そんなに、せんろ。せんろというのかというと、カゲトは、のぞみさんを奪いたかった。いや、取り返したかったのだ。俺のマドンナを返せ。いつか、お前を倒してのぞみさんを俺の秘書にしてやる、よう。まっとれ。」その気持ちで、いっぱいだった。

紅色の鷹の目が、せんろをみていた。そして、そのくちばしをせんろに突き立てたくてうずうずしていた。

そんな事も、知らず、せんろ。いや、ゴマちゃんは、本を開いたままにして、コテンと、寝ていた。

勉強しすぎで、疲れて寝てしまったのだろう。

のぞみさんは、「おやすみなさい。せんろさん。」といって、毛布を掛けた。

その毛布は、ふわふわして、とても、良い毛布だった。

 せんろの事務所の部屋の明かりの、柔らかな光が二人を、照らしていた。