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カステラ戦記 竹取物語

あいつとハンと目が合った。

いつも顔をほっつき合わせていてもこんなにまじまじと見たことはなかった。

小さいときにプロ野球を見に行った時に顔をじっと、見たような気がする

そんな頃もあった。横浜と巨人の試合だったな。あの時は坂本が若くて。

今より、イケメンだった。ゆいもぴちぴちしてたような気がする。ステもいい子にそだったてたけっけなあ。あの時。俺は不況で。リストラされるか。されないかだったな。

塗装工真面目にはたいたんだ。やってたんだけどな。酒がうまかった。今の酒より、あったかかったような気がする。

うまくいっているときは自分がスーパーマンになったような気がする。ハンもステも俺の後ろをついてきてくれた。いつから、こうなった。それから、俺は何をやってもダメで、ゆい一人。笑顔にできず、ステは変な言葉遣いにはまり、ハンも俺の事を糞おやじ呼ばわり、誰のおかげでそこまで・・・。亭主関白の親父みたいなことは、言わないでおく。もっと、俺に頼ってくれ。ゆい。ハン。ステ。俺はお前たちの父親だ。少しでいいんだ。

 

俺は、見ることができなかった。凛々しい息子の顔を我が息子の顔をつい先月まで、だるそうにアイスクリームをスプーンも使わずに食べていたのに、何があったんだ。ゆいは苦労ばかりしている。ステファニーは僕という、そんな事では嫁にもいけないぞ。何があったというのだ。この俺の育て方が悪かったというのか、毎日、丹精込めて、カステラを焼き、タピオカドリンクも、予算をかき集めて、何とかやっているというのに。あんまりだ。おお、あんまりだ――。糞。そう思うと、涙が出てきた。そして、北野にあの男に言われた場所を探すため、芝居をした。芝居と言うとゆいと出会ったのは劇場だったな。おおー。あんまりだ。なぜなんだ。なぜこの俺が。そう思った。プロ野球を返せ。劇場を返せ。日常を返せ。ゆいを返せ、ステを返せ、捨てられたなら拾え。俺の人生を返せ、だから取り返す。

今は昔、たけとりの翁というものありけり。野山にまじりて竹をとりつつ、よろづの事に使いけり。

竹、竹、どこだ。俺の竹、北野に言われたTake 竹どこだ。テイクアバウト。うまい話。その場所、どこだ。俺はハンを突き飛ばした。我が子の一張羅を汚してしまってもその場所を探した。どこだ。風呂もトイレも、洗面所も、子供部屋も探したぞ。スーツの男が追いかけてくる。眼鏡をなおして、追いかけてくる。伊達メガネだろ。何を恰好つけてんだよ。泥水すすって生きてみろ。生きようまた、あの家で。お前もゆいもステもどこに行ったんだ。俺だ。ゆういちだ。俺だ。俺だーー。返事をしてくれ。返事をして遅れ――。お願いします。いたします。礼を尽くします。奉ります。

 

僕は、困った。ハンがなかなか帰ってこなかったから、トイレに行ったから仕方がけど、いくら何でも長すぎるよね。その時思った。男の子のトイレはこんなに長いのかなと思った。

僕は怖かった。俊ちゃんの部屋の窓の外に町が見える。豪華な家やタワーマンションが見える。僕らが住んでいる所の通り一本むこうなだけなんだけどな。夜なんかはテーマパークみたいなんだろうな、カーニバルかな。外国にはあると読んだことがある。僕の国も本の中の国と同じ海に浮いてるんだよね。僕の家もこの窓の外にあるんだよね。少し、信じられないな。僕の家とパパたちの事を考えると、僕のパソコンもこの窓の向こうにあるんだよね。僕のtwitterのアイコンもこの空の向こうのサーバールームにあるんだ。きっと、だけど、信じられないな。けど、きっと、そうなんだ。って、事は僕のお婿さんも、きっと、だから、外にでないとだめんだ。少し、空を見ていると思った。そう思うと少し、怖くなった。空が窓を突き破って、落ちてくるんじゃないかって、思った。そんな思いを僕がしているのに俊ちゃんはロボットアニメの話に夢中だ。僕は聞くともなく聞いていた。俊ちゃんはいいなあ。空を見ても怖くないんだから、ロボットや魔法使い、ワンピースの話をして、眠たくなったら寝ればいいんだから。と思った。僕が俊ちゃんの話しにうんうんと頷いているとハンの声がした。僕はハンに「おお、ハン。長かったな。ウンコか?と言いたかったが僕は今、俊ちゃんにとって、桃園ゆめかだったので、ゆめかちゃんらしく、先生、トイレ。」と心配した口調でいった。すると、ハンは僕に「あん、ちょっと、いいか。」と小声で言った。

どうしたの。と、俊ちゃんに頑張るんだよ。ファイトだ。なんていって、しばらくの間一人でするように言って、ねえ、どうしたの。といった、父さんがいたんだ。」といった。僕は、「パパ?カステラ焼いてるんじゃないの。仕事だよ。今の僕らと一緒だよ。さぁ、僕らの夢を作ろう。」と、言った。僕はいい事言えたと思った。同時に自分でこんなことを思うなんて変かなとも思った。その変と言う言葉が頭の中をぐるぐると回っている時、「父さんが変なんだ。テイクアバウトって、ぶつぶつ言ってる。竹がなんとかって、竹。僕は思った。竹。何それ。

 

今は昔竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて、竹をとりつゝ、萬の事につかひけり。名をば讃岐造麿となんいひける。その竹の中に、本光る竹ひとすぢありけり。怪しがりて寄りて見るに、筒の中ひかりたり。それを見れば、三寸ばかりなる人いと美しうて居たり。翁いふやう、「われ朝ごと夕ごとに見る、竹の中におはするにて知りぬ、子になり給ふべき人なンめり。」とて、手にうち入れて家にもてきぬ。

 

 

竹、どこだ。竹どこだ。あったぞ。部屋だ。汚いな。掃除だ、お掃除だ。俺の人生も、

そこは部屋への入り口だった。奈落へ通じる扉だった。