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おでんの味に聞いてみて。政治家稼業 パラレルファクター。

 おでんの味に聞いてみて。 政治家稼業 パラレルファクター。

 せんろは、とある高架下にやってきた。この高架下は、待ち人の場と呼ばれていた。

ここにはワコクとカメリア国の戦争で帰る家をなくした孤児や家族がしばらくの間、新居が見つかるまで暮らしていた場所だった。

せんろにとっては学生の頃おでんやラーメンの屋台で酒を飲んだりしていた。どちらかというと楽しい思い出のある場所だった。学生のころは津山とおでんやラーメンをつまみながらこれからのワコクや政治の事を語りあったりしていた。

せんろはその時の熱い熱気とラーメンの匂い、綺麗とは言えない場所で明かりに照らされ、ぐつぐつと煮えるおでんが好きだった。センゼン期、いや、それ以前の若者たちもこんな風に夢を語ったのか。と思った。

このころのせんろはびっくりするくらいに真面目であった。同じ人なのかと思うほどだ。ふざけてはいただろうが隠すのがうまかったのだろう。津山は「せんろ。お前。何、考え事してんだ。」といった。

ぐつぐつ煮えているおでんの鍋を見て、遠い昔に思いをはせていると津山君に現在に戻された。せんろは津山に「いえ。生きる事について。おでんを見ていると、生きる力について考えさせられましてね。なんだか、マグマのようで。海外の本で見た火山のね。」とよく通る声でいった。

津山はそれを聞いて「おでんを見てそんなこと思うやつはお前しかいないよ。せんろ。」といった。

そして、バカ言ってないでお前もなんか食べろ。」と、おでん屋の親父さんに「こいつにも、一つ。」と、何か見繕って、大根だ。はんぺんだ。ごぼうてんだ。卵だ。なんかを入れてもらっていた。

 

せんろは、「そんなに食べられませんよ。津山さん。」と笑ったが、津山君はそんなのお構いなしで「いいんだよ。お前は、男だろ。まして、帝大生だ。食わなけりゃ、明日のワコクもだめにならあな。」と弟子入りしたての噺家さんみたいにおでんを進めた。そして戦争の話や経済論の事を話した。おでん屋の親父さんは話が難しく「いいんかいね。こんなとこでお二人さん。本町のほうに洋食屋があるから、そっちいかんかね。」といった。

 

せんろは親父さんに「いえ。僕らはここがいいんです。何事も民草から生まれるのです。しゃれた店より落ち着きます。」と笑った。そしてせんろは「いただきます。」といっておでんを食べ始めた。

昆布の風味とおでんの大根の味が口いっぱいに広がった。奏山のおでんは昆布を使う。海のもので出汁を取るのだ。

せんろは今でもこのおでんの味が好きで、せんろが海のものを好むのもこれがあったからかもしれない。ごぼうてんは柔らかく弾力があり丁寧に作られているのが分かった。

それを親父さんに言うと親父さんは「ほう。分かる人にはわかるんやんね。」と笑った。津山さんはたくさん食べていたが分からなかったので「そうか。?せんろ、お前、舌が肥えてるんだな。おらあ、わかんね。」と、落語家さん風に言った。

言葉づかいは汚かったが、この人がワコクの文部大臣に史上最年少でなり、史上最年少で入閣を果たすのだがこのころは考えられなかった。しかし、津山君にはせんろが出会った人の中でも珍しい特技、とある秘密の守り人の中でも一番そのことを熟知していて少し変わっていた。

「おい。せんろ。あの子。変わってやれよ。あの子のふるさとみたいなもんだろう。ここはよ。」と、言った。

 

あの子というのは誰だろうか。津山は話を続けたあの、ピーピー泣いてる子だよ。戦争のほら。ここで拾ったろ。」とあの服どこいったかな。という風に言った。

すると、せんろは「あの子じゃありません。リノちゃんです。リノベーションのりのちゃんです。」と、たしなめた。

せんろが津山をたしなめると、「なんで、俺が責められなきゃなんねえんだよ。オラあソイツに元気になってほしいだけなんだ。」と、笑った。

リノというのは、せんろが去年の夏、お盆の折、せんろが拾った女の子の気持ちでその子には名前がなく、「外国人いやー。」と、泣くばかりで名前を聞いても桃園です。お父さんは職人で桃園というばかりで一向に名乗らなかった。

その場を通った時にふわっと浮かんだアイデアなので、自分でもなんだこれ。と思ったがこの子に何とも言えない魅力を感じた彼は「泣いてばかりいては前に進めません。桃園さんと、その子をたしなめた。

しかし、その子をむぎゅーと、抱きしめた。実際には抱きしめる演技といったほうが良かったかもしれない。学生寮の自分の部屋でせんろはその子を抱きしめた。その時、不思議だった。何もそこにないはずなのに体温を温かみを感じたのだった。

 

せんろは温かいなと思うと、この子は生きている。確かに私の中でと思った。

 

そして、桃園さんに話しかけた。あなたは生きている。確かに。見えないかもしれないが。で、あるなら名前が必要ですね。その温かい確かな血潮にふさわしい名が。といった。

それを相部屋の津山は「またかよ。また始まったよ。せんろのドラマのマネがよ。」と笑った。

 

しかし。変に今日は熱が入っているような気がした。

津山は向こうで笑っていたがせんろは構わず続けた。

「そうですね。リノ。リノベーションのリノなんかどうですか。改革、刷新という意味もあります。いい名前でしょう。」とその子を守るように言った。その子は、「リノって外国人のなまえだよぅ。いやいや。」と泣いた。

その声はかわいいこえだった。とても、とても、良い声だった。

せんろは「怖いですか。リノ。大丈夫です。あなたは美しい。泣きたいときは泣き、笑うときは思いっきり笑いなさい。それが生きる事です。それに怖いならばそれを使いなさい。和魂洋才です。」と、優しく言った。リノは、「うん。そっかあ。リノね。」と、泣いた。

せんろは「そうです。そうですよ。リノさん。ゆっくりでいいんです。」とリノを抱きしめた。

 

津山はいつになく力は言ってるなあ。と思った。そして、津山にもリノが見えた。

そして、ほお。と、分かった風にリノを眺めていた。

今日、せんろはその思い出の土地に一人で、いや、いつもの三人組でやってきた。

あの、おでん屋があった。もう、古い話なので代は変わっていたがその店はそこにあった。

そこの店にはどうやら先客がいるようだった。せんろはそんなことはお構いなしで、リノと変わった。リノが、喜ぶだろうと思ったのだ。ここは彼女の始まりの場所だから。

それにプライベートはリノが多めにした方がせんろには、過ごしやすかった。

子どもの心をむき出しにして、過ごせるから。せんろはそう思っていた。

リノはおでん屋さんの親父さんに「おでんやさーん。」とかわいいこえで元気よく言った。

おでん屋さんの親父さんは「いらっしゃい。」と、元気よく挨拶をした。

そして、ふふっと笑った。そして、こういった。「おやあ。そっくりだね。あんたたち。兄弟かいね。」と笑った。

リノはうーん。と不思議に思って隣の席を見た。

隣の席には、リノとそっくり、瓜二つ。いや、そちらの方がお姉さんか。といった風な女性が座っていた。その女性は「いえ。違います。」と、突き放すようにいった。しかし、なんとも言えない気品がそこにあった。

リノも、「こんな人知らなーい。」と、言った。しかし、こちらは誰かわかっているようだった。

親父さんは「そうかいね。でも、何だか家族みたいやね。」と笑った。

その女性は「家族。」とボソッと言ってそうですか。と、泣いた。

リノは「そう。良かった。」と、元気に言った。

そして、リノは「ねえ。お姉さん。私たち家族だって。不思議だね。私。お姉さんの事。おうえんしてるから。リノです。よろぴくぴく。」と、笑った。

その女性は、リノがそういうと「ああ。ファンの方でいらっしゃると。ありがとうございます。リノさん。」と、冷たく言った。

すると、ソファーが「リノ。嬉しそうですね。」と冷たい声でリノに言った。

リノは「うん。ソファーちゃん。リノね。リノさあ。嬉しいの。私に会えたから。」と笑った。ソファーは、嬉しそうなリノを冷たい目で見ていた、その視線をせんろに送った。

せんろは「私は、知りませんよ。」と、笑っていた。

ソファーは、ここの人たちは不思議だなと思っていた。

女性の方は、ケラケラ笑っているリノを見て、なんだか懐かしいな。家族か。と思っていた。そう思うと、おでんの味が心にしみた。少し、海の味がした。その味は、ユメカの心を優しく包みこむような優しい味だった。その湯気が空に登った。

昔からいう湯気や煙は高く上ると。

その湯気はどこに上るのだろうか。あの人の所へ上るのであろうか。