お母さん、アリガトウ。の法則。 アルティメットセオリー。 パラレルファクター。
やぁ。聞いてくれ。チャンに赤ちゃんが生まれたんだ。
いや、正確には、バーニィにだけど。うーん待てよ。赤ちゃんは、一人では生まれないから…。チャンも関係あるかな。?
ふふ。そんなことは、どうでもいいか。僕はね。不機嫌なんだよ。だって、今日は、オフの日で、レオナルドと、ベリーと一緒に、ハリハリウッドにある。魔法使いケン・ポッターランドに行く予定だったんだ。もう。赤ちゃん。こっちにくるなら、姿現しの術ぐらい、勉強してきてから、生まれてきてほしいよ。姿現しの術は、初等科向けの魔法の術で、小学校1年生向きの術なんだ。まったく。早い子は、幼稚園からでも、できるって言うのに。もう、まあ、赤ちゃんには無理か。でも、チャンの子だからね。それぐらいできるはずだよ。
まったく、君のせいで、ケンも、ロニーも、エマもおじゃんだよ。
まったく。しかもね、朝の速く。しかも、朝の朝だったんだよ。空なんか、まだ夜みたいだった。時計は、朝の3時だったけど。まったく。レオナルドったら、手荒なんだよ。
朝の歯磨きも、寝癖直しも、そこそこに、「いくぞ。シャルダン。行きますよ。博士。バーニィの赤ちゃんが生まれるって。」と、言ったんだ。
もう。僕はね。眠いんだよ。そう言ったら、レオナルドは、チャンは、僕らの仲間だろ。
それに、真実の愛、ルビアウを愛する者が、命の誕生という、素晴らしいことに対して、
そんな利己的な事を言うんだね。エメリッヒ牧師の息子も、落ちたもんだ。
カウボーイシティーの神童も、神の童も、ここまでか。と笑った。
レオナルドは、そういうと、ベリーと、行こう。行こうといって、僕を置いて行こうとした。カウボーイシティー。懐かしい名前だ。そう思った。今僕は、ビックバンスマイルに住んでいるけど、大学に来るまでは、カウボーイシティーという、カメリア西部の荒くれ者の町で育ったんだ。だから、野球もよく知ってるよ。エメリッヒ牧師、父さんに教わったからね。
カウボーイシティー、いい街だった。荒くれ者だらけで、銃の火薬のにおいと、馬のおしっこや糞のにおい。嫌なにおいだったけど。今思うと、いい匂いだった。
ああそうそう。カウボーイなまりも、あったな。本当は、クイーンズイングリッシュならよかったけど、荒くれ者たちは、皆、なまっていた。人を見たら、「おお、どうじゃ。調子、どうや。?いこうや。どかあじゃ。」って、もう、スぺーイン人じゃないんだからね。あーあ。僕も、クイーンズイングリッシュの地域に生まれたかったな。
だからね。僕は、一生懸命、クイーンズイングリッシュを覚えたんだ。
美しいでしょ。僕の声。スタンダードでしょ。僕は、カウボーイ・シティーは好きだけど、あの訛りだけは、嫌だと思っていたんだ。でも、皆、街の野球チーム、マグマタイガースを応援していてね。皆、野球を見ていたよ。僕には、退屈だったけど。
レオナルドの車、正確には、ベリーのピンク色の車の窓から夜なのか、朝なのか、分からない空を見ていると・・そんなことを思い出した。
運転は、レオナルドがしていた。レオナルドの運転は、とっても、上手だった。
荒くもなく、遅すぎもない。とっても、快適だった。責めるとすれば、この車のデザインだ。ピンク色だ。ちょっと、ラメも、入っている。こんな女の子のおもちゃみたいな色の車に乗るなんて、屈辱だよ。僕ならもっと、いい車に乗るよ。リムジンとか。フラーリとか、トライアンプーとかね。もっと、勇ましいのにのりたいよ。
僕はね。インドア派だけど、カウボーイシティーの男なんだ。ほこりが高い。糞尿の匂いがして、衛生的とは言えないけど、あの街の人は、死ぬことを恐れない。泣いている人がいたら、自分の腕を失っても、助ける。そんな殊勝な街なんだ。
そんなことを思っていると、
車は、アミルンの家に止まった。すると、アミルンが、待ってました。と言わんばかりに、
僕の隣に飛び乗った。まるで、赤ちゃんが生まれそうな、妊婦さんみたいだった。
ちょっと、待ってくれ。赤ちゃんが生まれるのは、バーニィと、チャンなんだよ。なんで君が。と思ったけど、彼にとって、チャンとバーニィは、家族なんだ。
ということは、彼にとって、このことは、一大事だ。だって、家族が増えるんだからね。
ここで、少し、訂正させてくれ。さっきは、怒ったけど。前言撤回だ。
僕は、ルビアウのファンだからね。慈悲深いんだ僕は。慈悲の心がなければ、ルビアウは、読めないよ。ルビアウは、いいよ。あれこそ、真実の愛だ。
レオナルドに、そういうと、「あれ。シェルダンが、訂正だってさ。こりゃ、何かが起きるんじゃないの。ああ、だからか。だから、チャンとバーニィに、赤ちゃんが生まれるんだね。」と、笑った。僕は、嫌な気持ちになって、「集中して運転しろ。レオナルド。」といった。
僕たちが、そういっていると、ベリーは笑った。
僕たちのやり取りが面白かったらしい。僕は、真剣だ。事故になったら、どうするんだ。
まったく。女の子の考えることはわからないよ。
僕がそう思っていると、アミルンが「ハヨウ。イグベ。」と、インディラの言葉で言った。
うーん。よくわかんないけど、そんな言葉だったと思う。僕は、インディラの言葉は、よく知らないんだ。アミルンは思わず、お国のことばが出てしまったみたいだった。
僕は、そんな汚い英語、使わないよ。僕はいつでも、スタンダード。国際標準のクイーンズイングリッシュさ。ほら、今、僕が話してるみたいなね。
でも、母さんのカウボーイ イングリッシュを電話で聞くと、良いなあ。お母さん。会いたいなあ。と思うよ。なんでだろう。僕のお母さんだからかな。お母さんは皆好きだよね。
あーあ。僕のお母さんも、クイーンズイングリッシュで、話せばいいのに。
僕みたいに、正しい発音で、話せばいいのになあ。
お母さん。僕を生むとき、どうだったんだろう。
痛かったかな。?
そんなことを思っていると、病院についた。病院にはシュチューイもいた。
シュチューイは、お産の本を読んでいた。お母さんでも、お父さんでも、女の子でもないのに。
僕は、笑った。クイーンズイングリッシュで高貴にね。
でも、お母さんの事を考えると、分かる気がした。
僕たちは、友達だ。仲間だから、あの部屋の向こうに行けなくても。
一緒に戦っているんだ。赤ちゃんが生まれるのに。戦うってなんだ。
そこは、友人に出会うようにハローって、和やかにいうもんじゃないのかって高貴に思った。
皆、生まれるのを待った。あの部屋の前で、赤ちゃんが生まれる部屋の前でね。
僕らは、新しい友人を待っていた。部屋というと、この時、僕はケン・ポッターの秘密の部屋に、必要な部屋に、忍びの地図の事を考えた。
こんな時に申し訳ないと思ったが、このことを思うと叫びたかった。
ちょうど、この時、赤ちゃんが生まれる部屋から、バーニィの叫び声が聞こえた。
それを聞いたとき、僕は、叫びたいのはこっちだ。魔法使いケン・ポッターランドに行く予定だったんだぞー。僕は―。と言いたかった。
だけど、今日は、皆、慌てていて、おどおどしていたので、やめた。
僕は、知恵と勇気のグリフィン道士だからね。
ここで、心を乱したら、グリフィン道に反するよ。
その時、赤ちゃんの生まれる部屋から、産声が聞こえた。
オギャー。オギャー。と、うるさかった。
でも、みんな喜んでいた。
アミルンは、インディラ人も、びっくり。と、泣いていた。ベリーも、この前出ていた映画の時よりも、泣いていた。上手にね。
シュチューイは、サンキュー。ジーザス。と、叫んでいた。
シュチューイは、信心深いんだな。僕は、父さんは好きだけど、神様はちょっと信じられない。ああ、ヨンタのおじさんは別。ヨンタクロースは僕ら、子どもの味方だ。
ああ、子どものというと、この時、カウボーイシティーのお母さんにありがとうを伝えたくなった。僕のお産。僕が生まれたときの事を考えていたから。
僕は、そういうことを考えると、僕も、僕のお母さんも、痛いのを苦しいのを超えてきたんだね。と、思っていた。
後で、チャンに赤ちゃんを見せてもらった。女の子だった。小さくて、生まれてすぐに、バーニィのおっぱいを飲んで、おくるみの中で、寝ていた。
赤ちゃんは、とっても、気持ちよさそうに寝ていた。
のんきなもんだなと思った。気持ちよさそうに寝ている赤ちゃんの顔を見ていると、
僕は、思わず、「よう、きんさった。ようこそ。ゆっくり寝て、つかあさい。」と、言った。僕は、この時、変だなと思った。クイーンズイングリッシュじゃなかったようなと思った。
僕が、そういうと、レオナルドが、パーデュン。と笑った。
僕は、何がおかしい。抗議する。と、怒った。
チャンは、その間も、バーニィのベットの横で、よく頑張ったね。バーニィと、バーニィに声をかけていた。
バーニィは、寝ていた。いつもの赤い眼鏡を外して、美しい母の寝顔で、寝ていた。
親子で、そっくりな顔で、僕は、その顔を見みると、お母さんに感謝を伝えたくなった。
高貴に、アリガトウ。と伝えたくなった。