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貫太郎父さんのうさぽんまん。学園パラレルファクター。

今日も、貫太郎の店は忙しい。貫太郎の店は、この国でも、大変有名な店で、貫太郎は、トンカン。トンカン。と、石を削って、いく。一つ、一つ、心を込めて、削っていく。貫太郎は、口が上手ではないので、石をもくもくと、削るしかないのだ。

貫太郎の削った石は、家にも使われている。この国では、まだまだ、石造りの家も、盾らられることがあるため、その家を建てるための石も、貫太郎の店では、作っている。

誰もいない作業場に、貫太郎が、石を削る音が、響く。トンカン。トンカン。と、響く。

貫太郎は、石を丁寧に、丁寧に、削っていく。思いを込めて、慌てずに。しっかりと。

貫太郎は、今。何を考えて、仕事をしているのだろうか。娘のしずえの事、息子の、シュウヘイの事。いや、貫太郎は、何も、考えていない。ただ、ただ、石の事だけを考えている。いや、本当は、子供たちの事も考えているかもしれない。けれども、貫太郎は、口下手である。だから、口で言うより、手の方が早い。

本当は、子供たちに、いろいろな事、自分の気持ちを伝えたい。誰よりも、ありがとうを、愛していると、伝えたい。けれども、そんな事は、言わない。言えない。男だから、言わないのだ。だから、貫太郎は、今日も、石を削る。子供たちのために。今日も、石を削る。その削った石。一つ一つが、娘と息子の幸せにつながると信じて。今日も、削る。

長々と書いたが、貫太郎は、この間も、黙々と、石を削っている。

貫太郎の気持ちは、あの、ふくよかな体の中にのみ、あるのだ。

本当の所は、誰にも、分らない。けれど、これでけは言える。貫太郎は、今日も、黙々と、意を削っているという事。

そうこうしているうちに、もう、夕方である。

夕方になれば、学校から、しずえと、シュウヘイが帰ってくる頃である。

貫太郎は、ふと、作業場の時計を見た。時刻は、午後の四時半であった。

貫太郎は、それにふと、目をやって、「おお、もう、夕方か。」と、つぶやいた。

そこへ、しずえがやってきた。

しずえは、貫太郎に「パパ。ただいま。今日ね、アスミちゃんと、とっとちゃんと、お話したの。」といって、笑った。

貫太郎は、短く。「おかえり。」と、だけ言った。

貫太郎がそういうと、しずえは、「パパ。お仕事。頑張って。ああ、そう、これ、学校の売店で、買ってきたの。うさぽんまんですって。学校で、人気なのよ。パパ、イチゴ。好きでしょ。これね。イチゴのクリームが入ってるの。人数分あるから。あとで、シュウちゃんと、皆で、食べましょう。」といって、大きめの紙袋を見せながら、笑った。

その袋には、まんまるくて、可愛い絵がかいてあったのを貫太郎は、ちらりと見た。

しずえの話を聞いたとき、子供が買い食いだあ。と、少し、カっとなりかけたのだが。

俺のために。兄弟のために、おやつを買ってきたんだな。しずえは、優しいなと思うと、自然と、それは、収まった。

なんて、優しい女の子だ。ありがとな。と思うと、自然と、しずえに、ありがとうを伝えたくなった。そう思った。貫太郎は、しずえに、ありがとうなと、言おうとした。

しかし、難しいものだ。誰かにありがとうを伝えるのは、難しいものだ。貫太郎にとっては、なおさらだ。で、あるものだから。貫太郎の口から出た言葉は、ありがとうではなくて、「おい。しずえ。」で、あった。あとお。同じ行にあるけれど、違う音である。

貫太郎が、そういったころには、しずえは、作業場の奥にある。貫太郎たちが、いつも、生活している場所、住まいの方へ、行ってしまっていた。

しずえのはいていた靴だけがきれいにそろえられて、貫太郎の方を向いていた。

貫太郎は、それに気づくと、また、石を、トンカン。トンカンと、削り始めた。

丁寧に、しっかりと、削り始めた。

貫太郎が、もくもくと、石を削っていると、今度は、シュウヘイが帰ってきた。

シュウヘイは、何やら、鼻歌を歌っている。それにしても、下手である。その歌は、ビートルズのラブイズオンリー。であった。

この国の言葉で、表すと、愛こそは、すべて。である。

シュウヘイは、ビートルズが好きだ。自分も、いつか、ビートルズに入りたいと思っている。ラブイズオンリー。は、シュウヘイのお気に入りの曲である。

貫太郎は、その下手な、鼻歌を聞きながら、「何。チンタラ、チンタラ、してんだよ。」と思っていた。