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なべぞこだいこん。小寺勘十郎一家。パラレルファクター。

なべぞこだいこん。小寺勘十郎一家。

 

細田美夜は、機嫌が良かった。

今日は、美夜の休日の日なのだ。

休日、美夜は、自分の部屋で、自分の母親の、美月に、手紙を書きながら、物思いにふけっていた。

 

美夜は、小寺石材店と言う、石屋さんに、住み込みで、働いている。

年は、今年で、19歳である。美夜は、残念ながら、高校には、経済的な理由で通えなかった。父親の細田 正は、勘十郎が若いころからの知り合いで、病弱な正は、

「俺に何か、あったら、奏山の山奥村に住んでいる娘の事、よろしく頼みます。」と、山奥弁で、言われた。勘十郎は、それに、「おう。分った。正。任せてくれ。」と、粋に言った。

正が、美夜の事を心配したのには、理由があった。それは、正の妻で、美夜の母、美月も、体が丈夫だとは、言えず、いつも、せきをして、こんこんとしていたからだ。

 

美夜の生まれた村、山奥村は、奏山の中でも、貧しい村で、これといった産業もなく雪に閉ざされている。しかし、美夜は、夏の山奥村の夏祭りが好きだった。笛や、たいこのお囃子が聞こえ、その日は、貧しい山奥村も、開けた都会のように、思えた。

 

今、山奥村は、交通の便が悪く、村の人口も、減る一方である。

村の中に、小さな診療所と、ワコク警察の交番があるだけである。

そんな村で、美夜は育った。だから、山を都会に、くるまで、コーヒーやら、グループサウンズやら、アニメやらパソコンやらがあるとは知らなかった。ラジオは、村にあったが、ニュースばかりやっていて、ニュースでは聞いていたが、それが、本当にあるとは知らなかったのだ。それに、アニメとパソコンは、最近の流行である。

ひょっこりひょうたん島は、人形劇なので、アニメとは、違う。

 

だから、こずえさんをみていると、少し、自分が嫌になる。高校に行けず、お手伝いさんをしている自分が、足の障害があっても、頑張るこづえをみていると、自分は何をやっているのかと思う。足も、動くのに。私。と思う。

アラタくんは、「いつも、この家は、古いんだ。

俺、こんな家、いやだ。と思うね。姉ちゃんは、漫画みたいな声だしさ。

ばあちゃんは、いつも寝てるし、父さんは、いつも、怒ってるしさ。うちで、まともなのは、母さんだけだよ。」もう。と、言っている。

 

山奥村から、家族を捨てるも、同然で、来た。私からしたら、甘えるな。と思う。

だけど、アラタ君、いつも、家に帰って、一言目には、「姉ちゃん。ただいま。」というし、

おばあちゃんに、食べられたカステラを見て、「ばあちゃん。俺のカステラ。食べたな。」と、声を張り上げている。それに、どんなに、家族の事、お姉さんの事、おばあちゃんの事、親分さんの事をバカにしても、里子さん、お母さんの事は、バカにしない。

 

そんなアラタ君の事を私は、可愛いと思う。こずえさんだって、私の事、「カワイイネ^^」って、あのカワイイコエで、言ってくれるの。嬉しい。私。学校、行ってないから。お友だち、いないのよね。村の友達とは、最初はお手紙のやり取りを、村と町で、やってたんだけど。

皆。お嫁に行っちゃったわ。子供が、三人も、生まれたわ。って、菊子ちゃんのお手紙で、読んだの。三つ子ですって。写真も、見たわ。白黒写真だったけど。もう、しばらくしたら、村の方も、カラーになるのかな。?そう思うと、何だか、わらちゃうわ。

 

だって、私の山奥村の夢は、いつも、白黒なんですもの。

 

この間ね、こづえさんと、「夢って白黒の物ですよ。」って、言ったら、

こづえさんびっくりして、「エッー。ミヨちゃんノ夢ッテ、白黒なノ。^^。」って、カワイイコエで、言ってたわ。私、その時、「えー。カラーなんですか。?」って、言ったら、

「そぅだヨ。み~んな、カラーだヨ。夢は。」って、また、びっくりされたわ。

そうなんですか。?って、こっちも、びっくりして。町の人は、違うのね。と、思ったわ。

 

小寺家の人たちを見ていると、皆不器用ね。皆、一言、多いのよね。って、思うわ。

だけど、ここが、今の私の家なの。そう思うと、皆、愛おしいわ。

母ちゃんの入院代も、きちんと、払わないといけないし、頑張らなきゃ。

 

そこまで、美夜が、手紙を書いていると、

 

こづえが、「ミヨちゃん。ハイルよ~。」と、言って銀色の杖をついて、ゆっくりと、入ってキタ。^^

そして、コウいっタ。

「ミヨチャン。今日ネェ、バレンタインデーダッタのネ。女のコ、達。み~んナ、わたしてたよぅ。^^」と、笑った。

 

美夜は、びっくりした。そして、休日くらい、一人で、静かに過ごしたいと思っていたが、

こづえのカワイイコエを聞いていると、楽しいので、許した。

美夜が、許している間にも、こづえは、「でさー。^^」と、話していた。

 

学校の女子と、男子の恋のハナシの事を。美夜に、話シタ。^^

美夜にとって、行きたくても、いけない場所。美夜にとって、行きたくても、いけない場所。

ちょっと、自慢してるの。と思ってしまう話を楽しそうにシタ。^^

こづえには、そんな気持ち、一つもない。

 

美夜も、それは、分っている。

けれど、美夜は、そう思ってしまう。

けれど、美夜は、そんな気持ちを隠して、聞いていた。

けれど、そのハナシは、聞いている美夜の心を楽しい気持ちにさせた。

だが、どうして、あの時、学校へいかないという選択をしてしまったんだろう。とも、思う。

美夜は、この楽しくて、悲しい時間に、大人になる。という事の悲しさ。嬉しさを見たのだった。

美夜が、そう思っている間、だんだんと、楽しくなってきて、こづえの声が、だんだんと、アニメっぽくなってゆく。美夜は、こづえの声は、気持ちによって、変わることを知っていた。

そして、一番、楽しい時、小さい女の子風の声に、なって、「コイバナッテ、いいーナーーー。^^」と、笑った。

 

その時、美夜の部屋のふすまをドンドンドン。と、叩く音がした。

そして、こういった。「姉ちゃん。ニャンニャンミャンミャンうるさいんだよ。外まで、まる聞こえだぜ。」と、怒って、どこかへ、行ってしまった。これから、どこか行くのだろうか。

こづえが、怒ろうと、戸を開けたころには、どこかへ行ってしまった。

今日は、バレンタインデー。思いを込めた贈り物をする日。

この日。女の子は、好きな男の子にチョコレートや贈り物をする。アラタは、今からチョコレートを貰いに行くのだろうか。

アラタが行くと、こづえは、だれも、いなくなった廊下に向かって、「ソンナンジャ、もてないんだからナー。^^」と、いった。

そして、美夜に怒った低い声で、「もう。なにあれ。あーちゃん。やってらんない。(鬼)」と、怒っていた。

美夜は、こづえさんは、カワイイコエや、素敵な声、小さい女の子風のコエなど、たくさんのコエを出せるのね。と思っていた。

そう思うと美夜は、本当のこづえの事を知りたくなった。

そう思うと、あることに気が付いた。

こづえさんは、人のコイバナはしても、自分のはしていない。

 

そう思って、聞いてみた。「こづえさんは、チョコレート、男の子に渡したんですか。?」と、聞いてみた。

すると、こづえは、「ジブンのかぁ、あのネ。^^」と、元気に言った。

だけど、どこかいやそうな顔だった。

そして、カバンの中から、そうッと、取り出した。

それは、チョコレートだった。

美夜は、「ごめんなさい。」と謝った。

こづえは。「ウウン。いいノ。私、勇気がなくって。ドキドキしちゃって。

あーちゃんの事、子供ネ。ッテ、言ってるのにネ。^^」と、いった。

目には、ナミダが浮かんでいた。

そして、固くなった自分の足を少し、さすった。

 

そして、こういっタ。^^

美夜ちゃん。「一緒に食べヨ^^。」と、言った。

美夜は、「はい。私でよければ食べますよ」と、言った。

私で、良ければ、食べますよ。って、なんだかぶっきらぼうだなと美夜は思ったが

美夜が、そういうと、こづえは、また泣いた。

そして、「アリガト。ミヨちゃん。^^」と、カワイイコエで、言っタ。^^

それは、とても、のびやかで、とても、カワイイコエだった。

 

こづえの銀の杖が、美夜の部屋の窓からの光を受けて、キラキラと光っていた。

冬の朝。小寺勘十郎一家。パラレルファクター。

冬の朝。

 

 

小寺のお家の冬は忙しい。家の男衆は、皆、家の者から工場のものまで総出で、雪かきをするのだ

石材店の職人たち、トンさんは、もちろんの事。事務方の小寺石材店パソコン部の山下さんまで、雪かきに駆り出されていた。山下さんは「僕は、事務方ですよ。まったく。」と、言った。

 

父さん。勘十郎も、雪かきを朝から、石屋の男衆に交じって、雪かきをした。

雪は、重かった。こんなに重いのかと思った。しかし、俺は、男である。

男は、家族を、守らねば、ならない。

 

そう思って、勘十郎父さんは、雪かきをした。

 

そんな中に、アラタもいた。アラタは、眠そうにあくびをしている。

そして、「俺、寝るよ。父さん。俺、雪かきなんか。嫌だ。と、言っていた。

アラタが、そういうと、勘十郎父さんにぶっ飛ばされた。

アラタは、あっという間に、雪まみれになった。

アラタは、「何すんだよ。父さん。風邪ひいちゃうだろう。」と、言って、怒った。

おやおや、朝から、大戦争である。

 

勘十郎が、なんだあ。アラタ。と、きっと睨んで、張り手をしようとすると。

トン吉さんが「親方。朝から、喧嘩するのは、よくありませんで。それに、こづえさんも、お美夜さんも、奥様も、大奥様だって、おきちまいます。ここは、静かにしましょう。エドの小粋な豚に免じて。」と、鼻を鳴らして、言った。

 

はて、エドの小粋な豚といったが、江戸時代に豚はいたのだろうか。・・・。

トンさんがそういうと、勘十郎父さんは「トン吉。偉くなったな。」と、思ったが、

こづえや、お美夜、里子さん。おりんが起きてしまうといったので、鉾、いや、拳を収めた。

アラタは、助かったと、肝を冷やした。だが、勘十郎父さんに、簡単にぶっ飛ばされた自分が悔しかった。

 

そう思って、アラタは、その怒りを雪にぶつけた。

父さんに負けるものは、姉ちゃんも、母さんも、おばあちゃんも、回りまわって、未来のお嫁さんも、守れない。

 

お嫁さんと、言えば、アラタはいつも思っていた。もらうなら、うんうーんと外国の人がいい。カメリア人でも、良い。砂漠や、外国の摩天楼に住んで、それを見て、ワカメの味噌汁を飲むと決めている。髪の毛は、水色でも、黄色でも、ブロンドでも、ドレッドでも、とにかく外人だ。ワコクの女は、姉ちゃんで、懲りている。ばあちゃんですんでいる。

女性、未来のお嫁さんの話をしているのに、ワコクの女性の例が、姉ちゃんと、おばあちゃんとは、何という人だろう。おや、お母さんの話をしていなかったような。

 

アラタは言う、俺、秘密だけど、母さんみたいなヒトがいいと思う。朝も夜も、優しく、おはよう。アラタ。とか、お休みアラタって、言ってくれるようなヒト。

そんな外国人がいいなあ。はて、そうねえこんなヒトが、いいねえだの、なんだの言って、

結局、お母さんみたいなヒトとは、何事か。

 

そんな人は、ワコクにしかいない。そんな人は、里子母さんしかいないのだ。

まあ、世界は広いので、瓜二つのヒトは、いるとしよう、

けれども、それは、似た人であって、その人ではないのだから、結局、それは、お母さんでは、ないのだ。それに、ワコクの女性も、いいはずだ。

そんな了見だから、アラタは、姉ちゃん。こづえに、からかわれて、

「ネェ、あーちゃん。誰も、貰い手ガ、いなカッタら、お姉サンが、もらったげるわネ。」と、言われるのだ。とっても、可愛いコエで、そういわれたが、

うるせー。と、怒った。

 

しかし、難しいものだ。本当の幸せは、海の向こうを見ずとも、案外近くにあるものなのに。素朴なものより、刺激のあるものを求めてしまう年頃なのだろうか。

演歌より、ロック、邦画より、洋画である。そんな人である。

まあ、若者にそんな事を言うのも、ナンセンスであるが。

 

難しいものである。このナンセンスを解決するには、舶来ものより和のものかもしれない。

君の母は、君の近くにしか、いない。君の母は、君の家にしかいないのだ。

それを海外で見つける。難しいものである。

そんなアラタの母、里子、どんな気持ちで、アラタを見守っているのか。

こづえは、女の子である。お母さんの夢としては、誰か良い人のお嫁に行って家庭に入ってほしいと思っているのだろうか。

しかし、アラタは、男の子である、男の子は鉄砲玉である。

どこへでも、飛んで行ってしまうのだ。

お母さんもさぞ、気が気ではなかろう。

母は来ました。岸壁の母である。

ここまで、つらつらと、書いている間にも、アラタは、せっせ。せっせと、雪を書いていった。

寒さの中の妙な温かさの中で、まだ夜のような朝のような朝もやのなかで、アラタは男になっていった、このように書くと、何やら、別の方向の成長のような気がするが。

まずは、第一段階。今日は、ここまで。それは、心に留めておくとして。

芝浜だ。ゆめになるといけねえ。である。

そうこうしているうちに雪かきは終わった。

トンさんも、山下さんも、勘十郎父さんも、フーフーいっている。

アラタも、ああ、もう。疲れた。と、言ってフーハー。言っていた。

けれど、アラタの心には、充実感が広がっていた。

なんだか、よくやったと自分でも、思った。

アラタ、頑張れ。その心が未来のお嫁さんを連れてくるのだ。

ここは、小寺家の台所である。そこでは、里子母さんと、お美夜ちゃんが、朝ご飯を作っていた。今日の小寺家の朝食は、アジの開き。

台所の窓から、美味しそうな焼き魚の匂いがぽわんと、匂っていた。

今日は、お美夜ちゃんが、味噌汁を作っていた。

アラタは、台所の窓から、漂ってきた幸せのにおいに、、いい匂いだな。と思った。

お母さんの味噌汁の匂いだ。そう思った。

空のは、朝方だが、星が見えた。

その星は、アラタをぴかっと照らしていた。

 

ここにも、一人、一日が始まる人がいた。

こづえである。こづえは、眠気眼で、あくびを「フワぁー^^」と、可愛いコエで、言って、杖をついて、ゆっくりと、一階へ降りて行っタ。^^

一歩一歩下へ降りていくごとに一階の明かりが銀色の杖を照らした。

一階まで降りると、こづえは、台所のお母さんと、お美夜ちゃんに、ごあいさつをした。

そして、こういった、「ネェ、ママ、あーちゃんは。」と、言った。

すると、里子母さんは、「アラタは、お父さんと、外よ。雪かきだって。」

と、優しい声で言った。すると、こづえは、「フーン。雪かキ。あーちゃんが。」と、言って、窓の外を見た。外は雪で白くなっていた。

ありゃりゃ、アラタ、フーン。^^で終わってしまったぞ。

雪の朝には、男の戦いが。寒い朝には、母の愛が、いつもあるのだ。

外を見るこづえに、里子は、こういった。「こづえ。おばあちゃん、起こしてきてくれない」と、言った。

こづえは、里子母さんがそういうと、「ハーイ。ママ。おバアちゃんネ。」と、言ったそれは、とてもカワイイコエだった。

変わるもの。変わらぬもの。小寺勘十郎一家。パラレルファクター。。

 

 

勘十郎は、寒い中、寒い寒いと言って、トイレに行った。この頃、夜は冷える。冷えると、トイレに行きたくなるものだ。

廊下の窓から。外を見ていた。外は、雪が降っている。

勘十郎は、小さな声で、雪が降ってるな。といった。

夜の吸い込まれるような黒い空から、降ってくる白いもの。

これは、積もるな。明日は、早く起きるか。と、ボソッと、言った。

雪なんかに負け、工場を休むわけには、いかないからで、ある。

自分は、石屋の親父である。社長である。勘十郎さんであり、父さんであり、自慢の息子であり、パパである。勘十郎は、肩書をたくさん持っている。

男というのは、最近、石材店のパソコン部の山下が、言っていたことだが、最近では、男性という、らしい。だんだんと、言い方が、小奇麗になっていくなあ。と、勘十郎は、思った。

勘十郎の感覚としては、男性というよりも、男という方がしっくりくるし。

女は、女性ではなく、女という方が、実感として、分かりやすいのだ。

勘十郎は子どもの頃、父親である勘九郎さんに、「勘十郎。ようく。きけ。お前は、石屋の息子だ。男だ。しっかりしないと、ならん。いいか、男というのは、戦で、手柄を立てねば、ならん。」と、言っていた。それを、毎晩、夜ご飯のお晩酌の時に、よおく、聞かされた。その話を、毎晩、四つの時から、聞かされたので、そのように、育っていった。

ワコクの大空襲の時も、一目散に、おりんと、一緒に、山へ逃げた。

勘十郎は、逃げるとき、俺は、男だ。俺も、あの、カメリア人と、戦うんだ。と思ったが、

勘九郎が、今は、逃げるんだ。俺とお前は、男だ。戦うことは、いいことだ。

しかしな、今は、逃げよう。お前は、母さんを守れと、言われた。

その日、牛乳瓶のメガネが、とても、熱かったのを覚えている。しかし、熱いとは、思わなかった。

勘十郎は、父さんが、そういったとき。俺が、母さんを守る。と、心に固く誓った。

勘九郎父さんも、一緒に、おりん母さんと。一緒に山へ逃げた。

山の向こうには、やけどをおった人、手当てを受ける人。非難をしてきた人などで、いっぱいだった。

勘十郎は、ああ、花火大会みたいだ。と思った。

勘十郎は、夏に、おりんと、勘九郎父さんと、一緒に、花火大会に行った。

おりんは、浴衣、勘九郎父さんと勘十郎も、浴衣。家族三人で、お揃いだった。

勘十郎は、瓶のラムネを美味しい美味しいと、飲んでいた。

勘九郎父さんが、ラムネのふたを開けて、ビー玉を落としてくれた。

すると、ビー玉は、コロンと、コンコロンと、落ちてゆき。

しゅわっと、泡を立てた。我は、海の子、白波の~。という歌があるが、

その歌のように、ラムネは、白波を立てていた。

勘九郎父さんは、言った。「いいか。勘十郎。今は、父さんが、あけてあげたがな。いつかは、お前が自分で、あけるんだ。お前は、男だから。自立をしないといけない。分かったか。」と、閻魔大王のように、怖い顔で、言った。

その時、勘十郎は、思った、俺、何か。悪いことをしたんだろうかと。思った。

しかし、不思議と、嫌ではなかった。この怖いという心が。

怖さの中にも、あたたかさがあったのだ。

勘十郎は、その日、俺は、男なんだ。と、強く思った。

そのことを思い出して、山の上から、町を見た。

町は、燃えていた。

空は、変に、オレンジ色で、奇妙な美しさがあった。

勘十郎は、それを見て、畜生。と、山から見える町へいった。

ドラのような声で、おりんも、勘九郎も、びっくりしていた。

おりんが、やめな。勘十郎。気持ちは、分かるけどさ。ご町内の方がいらっしゃるだろう。」と、言った。

すると、勘十郎は、こういった、「うるさい。うるさい。俺たちの町をこんなに、しやがって。畜生。俺の家も、オダブツだ。この野郎。」と、ドラのような声で言うのをやめなかった。

すると、周りで、すすり泣く声やら、そうだー。という声やら、お父さん。お母さんやら、声がした。

おりんは、恥ずかしいと思っていたが、何やら、それを聞くと、自分の息子が歌舞伎役者に、なったような気がして、ちょっと、誇らしかった。

勘九郎さんは。「ほう。結構、粋な事、いうじゃねえか。なあ。と、おりんの顔を見て、

少しだけ、笑った。それは、どこか、誇らしげな顔だった。

そして、こうも言った、これで、うちの石屋も安泰だ。と、小さな声で、言った。

おりんは、その時、店、焼けちまっただろ。と思った。

でも、勘九郎さんは、どこか嬉しそうにしていた。

けれど、目には、涙が溜まっていた。暗い中でも、はっきりと、分かった。

その涙がキラキラ光っている火に照らされて、美しく光っていた。

悲しい涙だった。いや、嬉し涙だったかもしれない。

涙というのは 悲しいときにも、嬉しいときにも、出るのだ。

でも、腕はくっと、拳を握っていた。

けれど、どこか、嬉しそうだった。嬉しそうに、勘九郎は、勘十郎を見ていた。

我は海の子白波の騒ぐ磯部の松原に。

そこまで、思い出した時、勘十郎は、その歌を思い出した。

けれど、なんでだ。今は、冬だ。と思った。

そう思っていると、、アラタの声がした。

「父さん。何やってんだよ。」と、言った。

アラタも、トイレに来たのだ。いや、彼らのだから、便所かもしれない。

トイレというのは、こづえだけ、かも、しれない。いや、御不浄というのかも。

言葉一つ、とっても、変わってゆく。

文化も、心の在り方も。

しかし。変わらないものがある。

そんな難しい言葉を書き連ねていると、とっても、可愛い声、いや。コエがした。

「あーちゃん。パパ。いつまで、かかってるのぅ。キンちゃん、始まるヨ~。仮装大賞だってェー。」と、言った。

おやおや、女のコは、便所とも、御不浄とも、言わないそうだ。

なにも、言わず、それとなく、いつまで、かかってるのぅ。といった。

いやはや。

居間の方から、ケラケラ笑う声がする。「モウハジマッタよ~。ねぇ、あーちゃんさァー」という、声がする。勘十郎父さんは、こづえが、パパと、言わなかったので、少し、寂しくなった。けれど、嫌な寂しさではなかった。

嫌な寂しさというと、寒さも、嫌なものだ。

こちらも、長々と、書いている間に進展があったようで、

勘十郎は、アラタ、今日、寒いな。これは、積もるかもしれないぞ。といった。

そして、明日、朝、早く起きて、家の前と工場の前の雪かきだ。といった。

アラタは、嫌だなと思ったが、何だか、姉ちゃんのカワイイコエ^^を聞いていると、

イイかなと思った。けど、寒いのと、早起きが嫌だったので、結局、嫌だ。といった。

すると、勘十郎は、子供は、風の子だろうが。と怒った。

アラタは、それを聞いて、なんだよと思った。

しかし、居間の方から聞こえてくる。アハハハ。おばあチャン、面白いネ。コレねェ。

ユウジロぅだって。ヘー。似てるゥ。^^という声を聞いていると、頑張るかなという気持ちになった。

廊下は、暗く寒かった。

しかし、温かい気持ちになった。

暗い廊下にいると、部屋の明かりが明るく見える。

言葉一つ、とっても、変わってゆく。

文化も、心の在り方も。

しかし。変わらないものがある。

それが、ここにも、このお家にも、あったようだ。

 

我は海の子

 我は海の子白波の

さわぐいそべの松原に

  煙たなびくとまやこそ

我がなつかしき住家なれ。

おてもやん。小寺勘十郎一家。パラレルファクター。

おてもやん。小寺勘十郎一家。パラレルファクター。

 

今日、ワタシは、学校から、早く帰ってキタ。

時刻は、15時40分。いつもより、20分ホド、早い。

ワタシの部屋の外から、コーン。コーンと、音がする。

きっと、パパが、石を削っているんだわ。私は、そう思った。

 

仕事場の方から、トンさんが、「おーい。今のもう一回だー。」と、声を張り上げてて行ってル。オシゴト熱心ナノね。と、思う。トンさんは、いい人だナ。って、思う。

私が、小さなとき、まだ、あーちゃんが、生まれてなくて、美夜ちゃんも、うちに来てなかったトキ。私に、「おや、こづえさん。いい子だね。パイナップルの飴を上げようかいね。」と、パイナップルの飴をくれたノ。

 

黄色くて、まあるくて、甘かったナァ。本当に、パイナップルの缶詰のパインナップルがネ。

そのまンま、はいってるみたいナノ。おいしかったナァ。

トン吉さんがね、ソンナコト、してくれるモンだから。

私、小さい時、トン吉さんと、結婚スルノー。って、言ってたみたい。

 

私が、そういうと、パパがね、こづえ。女がな。そんな事、言うもんじゃないんだ。って、怒って、その度に、ママが、子供のいうことですから。お父さん。許してやってくださいな。

って、頭を下げてたみたいなの。

 

おばあちゃんは、そういう時、いつも、そうだよ。勘十郎。許してやりな。こんな、小さな子供のいう事だよ。気にしてたら、仕事にならないよ。」って、いって、ケラケラ笑ったそうよ。私ネ。そのハナシ、聞くとき、おばあちゃんって、この時から、シニカルなんだって、思ったわ。私、あんまり、覚えてないノ。あーちゃんが、生まれる前の、ママやパパの事。

おばあちゃんの事。なんでだろウ。って、思う。

 

私、あーちゃんが生まれてなかったトキ、あんまり、いいコト。なかったのかナ。

でもネ、小さいトキ、テレビで、世界名作劇場って言うアニメがネ、やってテ、ソレを、

よく見テた。記憶は、あるのネ。海の向こうのカメリアや、インディラ。海の向こうの家族や女のコたちの、一日。外国では、お父さんやお母さんって、いわないで、ママ、パパって、いうコトも、その時、しったノネ。

それ以来、私、お父さんと、お母さんの事、ママ、パパって、よんでるワ。だって、カメリアの女のコ、みたいじゃない。?その方がネ。

見たナァ、いろいろ、本当に、たくさん。ちょうど、コノ、時間ぐらいだったかナ。

私は、そう思って、一階に、おりて、居間のテレビを見に行った。

 

アシは、改めて思う事ジャ、ないかも、知れなイ。けど、重かった。

そのために、杖が、あるんだけど、あーあ。こづえの足は、ヨクならないナァー。^^

って、思っちゃった。でも、嫌だァ。って、思ったって、コレも、私の一部よネ。って、思うと、ちょっと、ユルソっかナー。って、オモウの。

 

ダメね。アタシって、あーちゃんが、いないと、お姉サンに、なってないと、ダメッ。ダメッって、なっちゃウ。でも、私、メソメソ、シナイヨ。だってェ、お姉サンなんだから。

私は、そう思いながら、居間のテレビの前にいった。

 

でも、先客がイタの。前のお客サン。おばあちゃんネ。おばあちゃん、民謡を聞いてたワ。

あーあ。世界名作劇場、見たかっタのニ。メソメソ、したトキ、モウ、嫌ぁー。って、思った時、よく見てタのにナァ。

 

おばあちゃんの方が、早かっタみたいネ。

 

おばあちゃんは、私の顏を見ると、「おや、こづえ、あんた。早かったわねえ。今日は。」と、眠そうにいっタの。とっても、眠そうで、ちょっと、可愛かっタ。

なんだか、赤ちゃんみたいナノ、つぶらな瞳でネ。良かった。

 

私は、そう思うと、アハハって、笑って、おばあちゃん。ちょっと、チャーミングなのネ。

って、思って、シニカルなだけじゃ、ないんだッテ、感心しちゃっタァ。ちょっと。

あーちゃんだって、パパだって、ママだって、おばあちゃんだって、お美夜ちゃんだって、いい所が、あるワ。みんな、ちょっと、ギスギスしてる所がアルけど、いいトコロがあるノ。

私にも、あるかしラ。探してみるわ。

そう思って、私は、おばあちゃんと、テレビの民謡を見たノ。

ちょうど、おてもやんだった。

おてもやーん。

アンタこの頃―。嫁入りしたでは、ないかいナ。

嫁入りしたこつぁしたばってん ご亭どんが ぐじゃっぺだるけん。 まあだ杯はせんだっタ。

有名なこの部分は、ワタシも、歌ったノ。そしたら、おばあちゃん。

「こづえは、歌が上手いねぇ。あたしゃ、、感心したよ。」と笑った。

その時、私、嬉しくって、「おばあちゃん。ソウ。ありがと。」って、おばあちゃんに行ったワ。おばあちゃんが、ソウ、言った時、嬉しかったナァ。

ここまでは、聞いた事があったの。だけど、このおてもやんには、続きがあったノ。

一つ山越え も一つ山超え あの山越えて

私やあんたに惚れとるばい 惚れとるばってん いわれんたい。って、続くのネ。

コレ、聞いたトキ。これ、ワタシの家族の歌。私たちの歌だァ。って、思ったの。

 

ああ、一つ山、越え、も一つ越えて、あの山超え、

わたしゃ、あんたに惚れとるばい。惚れとるばってんいわれんたい。

楽しい歌なのニ。楽しいうたなのにネ。こう続ク。

この歌って、フシギね。

 

そう思ったノ。そう思うと、心の中がしんみりとしたノ。

 

おてもやーん。

楽しい歌なのに、なんだか、冷たい心も、ソレと、なく。

カナシイわ。って、言わずに、それとナク、歌ってタ。

それって、とっても、強いと思ウ。

そんな歌って、とっても、いいと、思うノ。

 

私が、そう思っていると、あーちゃんの声がした。あーちゃんは、眠そうに、

ただいま。といっていた。

 

私は、ソレを聞いて、モぅ。あーちゃん。だらしない。と思った。

 

だけど、ワタシは、そんなココロを隠しながら、おかえり。あーちゃん。あーちゃん。おかえリ。と、元気に言った。

 

 

おてもやん

 

おてもやーん。

 

おてもやん あんたこの頃嫁入りしたではないかいな。

 

嫁入りしたこつぁしたばってん ご亭どんが ぐじゃっぺだるけん。 まあだ杯はせんだった。

 

村役 鳶役 肝煎りどん あん人たちのおらすけんで あとはどうなときゃあなろたい。

 

ああ、一つ山、越え、も一つ越えて、あの山超え、

 

わたしゃ、あんたに惚れとるばい。惚れとるばってんいわれんたい。

思いあふれて。

今日は、ゆかりお姉さんのラジオと、歌を聞いていました。

ラジオは、とっても、面白く、話し方が、僕の好きな大泉洋さんに性別は、違いますが、

似ているなと思いました。ゆかりお姉さんは、可愛い声も、たくさん出せます。

可愛い声を出せるのは、良いですね。以前のきょうせいさんのブログみたいに、

子どもたちや、街の人をびっくりさせることができると思います。

低く、色気のある声も、出せると思いました。

かっこいい人だなと思いました。

声を聞いていると、僕と同年代、ちょっと、年上。僕が、子どもの時にいた。

面白いお姉さん。ちょっと、年上のお姉さんみたいな気がしました。

なんだか、とっても、懐かしいと思いました。

これからも、応援しています。

頑張ってください。歌、たくさん、聞きました。

ゆかりお姉さん、頑張って。^^僕、応援しています。

可愛かったです。可愛かったな。お姉さん。

こづえにぴったりだと思いました。

可愛いです。ゆかりお姉さん。

なんだか、ゆかりさんという名前も、

懐かしいですね。可愛かったなあ。お姉さん。

それから、西郷どんも、よかった。

キラキラ輝いている人ってかっこいいです。

自分の世界に誇りと自信が持てるようになった時、人は成長をするんじゃないかな?と思います。 西郷どんのように、強い男になりたいと思います。 ゆかりお姉さんも、かっこいいです。 僕も2人を見習って、ガッツをもってがんばりたいものです。 僕を応援してください。二人とも。^^

心配シテも、何も、出ないゾ。小寺勘十郎一家。パラレルファクター。

夜は、皆眠る。ある人は、仕事の疲れを取り、ある人は、学校の疲れ。いや、なんだか、学校の疲れというのは、何か、気がひけるというか、申し訳ないというか。贅沢な悩みだと思う。しかし、彼女、彼は、疲れているのだ。

遊び疲れ、学び疲れているのだ。

なんだか、やっぱり、ずるっこのような気がするが、まあ、許そう。彼らは、ずるい子なのだ。文字通り。

夜、アラタは、テレビを見ていた。

テレビは、面白い。遠い国で起きていることも、近くで起きていることも、見せてくれる。

あんな、四角い箱なのに、なんでも、見せてくれるのだ。今日は、プロ野球、明日は、サッカー。明後日は、大相撲というように。

サッカーというと、こづえは、サッカーが好きらしい。足に、ハンディがあっても、大地を踏みしめて、風を受けて、さわやかな風の中、ゴールを目指す。彼らを見ていると、自分も、体を動かしたくなる。スポーツの前では、ハンディがあるとか、ないとかは、あまり関係ないと、こづえは、おもうんだヨね、と、可愛さの中にも、温かみのある懐かしい声で、アラタに、言った。アラタは、「ハァ。なんだよ。神様かよ。姉さんは。」とか、「王様かよ。」と、言って、何か、イガイガ言った。

ここは、大人しく、そうだね。お姉ちゃんとか、言えばいいのに。思春期の男の子というのは、わからない。アラタが、イガイガいうと、こづえは、そうよ。ワタシはね。王様。可愛い王様なの。クイーンなの。ヨ。と、言った。

アラタは、それを聞くと、また、可愛い声で話したと、思って、イラっとした。

普通に話せよ。と、思った。けれども、そうは、言いながらも、アラタは、お姉ちゃんの声が少し、好きだった。学校でも、アニメが好きな生徒たち、特に、高等部のお兄さんたちから、こづえは、可愛いと、評判で、あの、アスミちゃんには、及ばないが、隠れファンが、多かった。

アラタは、それが嬉しかったが、嫌だとも、思っていた。

俺の姉さんは、漫画の人じゃないやい。と、思っていた。

それに、自分の方が、ルードルヒのようなスターになれるはずだ。と、思っていたので、何か、羨ましかった。

でも、こづえが、前まで、自分の足のことをどこか、責めていたので、学校で、そんな風になっているのは、弟ながら、安心していた。

でも、どこか、嫌だった。思春期の不思議である。

2人が、テレビを見ていると、里子母さんが、

「はい。アラタ。こづえ。寝る時間ですよ。」と言って、テレビを切った。

テレビでは、植木等が、ふざけていた。

子供は、寝る時間ダィネー。と、まるで、こちらの母さんの声が、聞こえたのか。というくらいにそう言った。

こづえは、その時、アー。ママのコエが聞こえたのネ。と、可愛く、言った。

その時、こづえが、ケラケラと、笑ったので、

アラタは、笑うつもりがなかったが、笑った。

アラタは、こづえが、畳から杖で立ち上がる時、よろけたり、倒れたりしないか、心配した。

いつも、お姉ちゃんが、何かする。戸を開ける。立ち上がる。階段を上る時は、心配になる。しかし、階段ののぼりおりは、もう慣れた。そんなこと、心配していたら、姉ちゃんが箸を転がしても、心配してしまうから。

それに、アラタが、そうして、心配していると、こづえは、ニコっと、いたずらっぽく、笑って、可愛いほっぺにすこし、笑いジワを作りながら、「何、心配シテルの、シンパイしたって、何も、出ないヨ。」と、言うので、もう、心配は、しない。

けれど、心配してしまう。そして、こづえに、可愛い声で、心配シタッテ、何モ出ないゾ。と、言われる。この、一連の流れ。クレージーキャッツじゃ、あるまいし。

けれど、アラタは、心配するのだ。

こづえも、また。そうアラタにそう言うのをたのしみにしているのかも、しれない。 

そうこう、やっているうちに、夜は、ふけていく。

すると、里子、母さんが「ちょっと。ふたりとも、何やってるの。早く寝なさい。と、言う。

母さんがそう言うと、こづえは、「はーい。ママ。おやすミと、言う。

その時、アラタは、おやすミって、どこの挨拶だよ。」と、怒ったが、こづえに、「もう、あーちゃん。寝るときまで、プリプリ。そんなんじゃネェ。セレアちゃんに、キラわれるヨ。」と、ちょっと、注意された。

アラタは、セレアは、関係ないだろ。と、思ったが、言わなかった。

アラタは、眠くなってきた。

そして、あくびをひとつした。

こづえは、それを見て、アハハハ、あーちゃんのあくび、アクビのあーチャンだ。と、笑った。

この野郎と、思ったが、なんか、可愛かった。

アラタは、それが、なんとなく、嬉しかった。

可愛いと、言えば、そのやり取りの後ろで、おりんばあちゃんは、眠いやら、寝ているやら、な夢うつつ、やらで、こっくり。こっくりとしていた。

それも、また、なんか、可愛かった。

勘十郎は、自分と、里子の寝室で、寝ていた。

高いびきをかいて寝ていた。

その声は、部屋の外からも、よくわかった。

ドラのような声だった。

アラタは、その上の二階の自分の部屋で、

また、あくびをし、セレアちゃんに、小さい声で、この場にいないのに。おやすみなさい。セレアと、言って、眠った。

向かいの部屋から、ドスンドスンと、すこし、うるさいといえば、うるさいし、日常のいつもの音だといえば、そうな、杖のゴムが床を叩く音がした。

こずえは、これから、自分のベットに向かうのだ。と、アラタは、思った。いや、明日の時間割かな?共、思った。

この音を聞きながら、アラタは、眠る。

これが彼の1日の終わりの合図なのだ。

彼は、天使に導かれて、いや、いたずらな悪魔かな?に、導かれて、眠りにつく。

そして、元気な朝を迎えるのだ。

朝があり、夜がある。それは、このお家においても、そうであったようだ。

 

ねぇ、抱きしめてよ。小寺勘十郎一家。パラレルファクター。

ねえ、抱きしめてよ。小寺勘十郎一家。パラレルファクター。

 

今日、私は、とっても、嬉しいことがあった。

 

今日、私は、おばあちゃんに、「こずえ。あのぅ。物置がね。汚くなって。ありゃ。ごみためだよ。ほんとにね。ひどいって、もんだ。美夜ちゃんと、掃除してくれないかい。と、笑った。私は、それを聞いて、「おばあちゃん。分かったわ。ママ、いないもんね。パパは、もちろん、お仕事でしょ。」と、綺麗な温かみのある声でいった。

この間ね。三条先生に、褒められたの。私。こづえさんの声って、聞き取りやすいですね。って、私、それ聞いて、「ええ。そう。?」って、思うんだけど。

他の生徒のみんなも、そういうから、そうなのね。」って、思うようにするわ。

私、声、褒められたことなんて、今までなかったんだけどな。

 

あーちゃんなんか、姉ちゃんの声は、甘ったるいよ、もっと、野太い声だせよ。父さんの子だろ。?」って、言うの。ねえ。ねえ、これ、声の話よ。パパは関係ないと思わない。?

あーちゃんの声だって、男らしいとは、言えないのに。もう。

 

最近は、あの女の子に熱をあげてるのか、なんかしらないけど、

お姉ちゃんだってね。女の子よ。そんなんじゃ、モテないわよ。もう。」って、いったら、

あーちゃんたら、「うるさいな。姉ちゃんは、姉ちゃんだろ。」と、いって、どっかいっちゃった。もう。あの子とは、上手くいってるのかしら。あーちゃん。頑張って。女の子って、難しいんだからネ。ズートルヒって、恋の歌、歌ってんでしょ。知らないの。?

もう。パパ、そっくりだわ。こんなところが。

 

私が、そんなことを思っていると、美夜ちゃんが、「あの。こづえさん。この作文なんですか。?」って、聞いてきた。

美夜ちゃんは、少し、黄ばんじゃった作文用紙を持っていた。

 

私は、美夜ちゃんに、私は、ファーストネーム。呼び捨てで、いいって、いったんだけど、

「呼び捨ては、ちょっと。」って、いって、嫌がった。

だって、パパだって、「美夜はな。お手伝いじゃない。俺たちの家族だ。わかったか。」って、いってたのに、私、パパのこういうところ良いなって思うの。

 

怖いけど、いいパパよ。ここだけは、カメリア好きの私が、いうのも、なんだけど、

パパは、ワコクにしかいないと、思う。

だから、美夜ちゃん。私も、全部わかってるわけじゃ、ないけど、分かって。

 

私は、ちょっと、残念な気持ちになって、その作文用紙を手に取った。

そこに書いてあったのは、とても、綺麗な字とは、言えない字だった。

だけど、ナニコレ。?って、少し、考えると、誰の字か分かった。

それは、あーちゃんの字だった。

 

そこには、こう書いてあった。

夏休み、父さんと母さんと、姉ちゃんとばあちゃんと一緒に海水浴に行きました。

たのしかったです。父さんは、僕が、父さんに「父さんって、泳げないよね。」って、いったら、何を。って、親に言う事か。馬鹿者。」って、言われたけど、父さんは、そういうと、

僕と、一緒に泳いでくれました。

とっても、楽しいなと思いました。

 

ばあちゃんが、パラソルの傘の下のござのうえで、寝ていたので。ばあちゃん。寝てるよ。変なのって、思いました。

私は、それを見て、「あーちゃん。かわいい。このころは、こんなに可愛いところも、あったのね。」って、一人で、ケラケラ笑った。私が笑うと、体が少し、フラフラした。でも、大丈夫。こういう時は、杖と、かかとの、裏で、踏ん張るの。こういうの。得意なのよ。

私が、踏ん張ると、体のバランスは、元に戻った。

 

美夜ちゃんに、少し、心配されちゃったけど、「大丈夫。美夜ちゃん。ありがとう。」って、いったら、美夜ちゃんは、そうですか。って、笑った。ちょっと、笑顔が固い感じがしたけど、大丈夫だから。こういう所が。難しいのよね。私って。

色んな人に囲まれて、やって、行くのって、大変ね。でも、私、好きよ。コレ。

そう思って、私は、続きを読んでいったの。

 

そしたらね。作文の中の私は、泣いていたの。海水浴場に来た他の子たちに、からかわれて、泣いてたの。パパは、海の家で、お酒を飲んでいて、私とあーちゃんだけで、浜で遊んでたの。そしたら、私の歩き方が、変だって、笑われて、ロボットがいる。って、言われて、私は、何も、言えなくて、泣いたの。

それを読んだとき、私、小さい子って、純粋だけど、ちょっと、残酷ね。って、思ったわ。

そして、続きを読んでいくと、僕は、姉ちゃんを笑うやつをこの野郎。って、ぼこぼこにしました。そしたら、父さんに、家で、ぼこぼこにされました。って、書いてあったの。

その時、私、少し、涙出ちゃった。だって、こうも、書いてあったから。

姉ちゃんは、僕が守る。僕は、石屋の息子だからです。って、書いてあったから、私、少し、泣いちゃった。

私が泣くと、私は、また、フラフラしちゃった。だって、そんなこと。あーちゃんの口から、聞いたことなかったから。本当にパパそっくりね。と思ったわ。

でも、これは、気持ちの問題で、とりづらかったわ。あーあ。リハビリ、ガンバロっと。

その時、私の体は美夜ちゃんに支えられていた。

その時、私の銀色の杖に、美夜ちゃんの顔が映っていた。

でも、はっきりじゃなかった。薄く、肌色の影が、薄く、私の杖に薄く映っていただけだった。

帰ったら、あーちゃんに言ってみようかな。

お姉サン、うれしかったナァ。

でも、そういったら、あーちゃん。「なんだよ。もう。知らねえよ。そんなこと、忘れちゃったよ。」って、いうかナ。と、思った。

 

 

 

 

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こづえの杖を書きました。ゆかりお姉さん可愛いです。

歌も、お芝居もうまいです。